BEAST X下石戟が
オーラス大逆転の11勝目!
ドリブンズ園田賢
「なんてことをしてしまったんだ」
文・中野巧【火曜担当ライター】2026年2月10日
最近のプロ野球において投手の評価指標は防御率ではなく、WHIP(1イニングあたりの出塁率)や、FIP(奪三振・四球・被本塁打のみで計算)などのセイバーメトリクスと呼ばれる統計学的な根拠に基づいた指標で評価されている。防御率だけでは味方の守備力や運(打球の方向)、球場など偶然の要素も含むため、投手の純粋な実力を測る指標としては欠点があるためだ。
麻雀はどうだろう。ネット上で麻雀の年度相関関係(今年の結果と来年のスコアがどれだけ連動しているか)を調べた方によると、ほとんど関係がないという結果になった。では何が「よい選択」で「悪い選択」なのか。個人的には「よい選択」とは多くの人の意見が出て、議論が巻き起こるものではないだろうか。なぜなら、その方が多くの人が麻雀プロ本人や選択を目にして、人の記憶に残り、様々な意見が出るような複雑さがあるからだ。
第1試合
東家:石井 一馬(EARTH JETS)
南家:白鳥 翔(渋谷ABEMAS)
西家:下石 戟(BEAST X)
北家:園田 賢(赤坂ドリブンズ)
本日の試合結果は下石がオーラスに逆転し、トップに。チームは3位とセミファイナル進出をより現実的にした。個人11勝目で、個人スコアは40人中2位に。今年新加入のEX風林火山の永井 孝典と下石が個人スコア1位と2位というルーキーの活躍が目立つ。
2位の園田はオーラスに満貫ツモ条件の下石からリーチが入ったことで、苦渋の選択から追いかけリーチをしたJETSの石井一馬に放銃し、2着に落ちてしまう。
3着の一馬は34300点の3着と、状況が変われば2着、トップもありえた展開だけに悔しい結果となった。
4着の白鳥翔はテンパイが入り、リーチ回数も3回とトップの下石と同じだけ手が整っていたのだが、先に相手の当たり牌を持ってきてしまう展開で無念の4着。
ここからはオーラス、下石のプレッシャーを与える選択と、園田の選択の理由について書かせていただく。
オーラス
満貫ツモでトップになる下石は2巡目にトイツの
を落としていく。3着の一馬との点差が離れていることからゆったりとタンピン系の満貫を目指した。園田の立場からすると、「やっぱり下石はくるだろうな」という心境で、
を切るくらい、手を作っているプレッシャーを感じさせる。今季の下石の活躍を知れば知るほどだ。
6巡目、下石が少し悩んでの
切り。これはリーチタンヤオピンフを絶対に逃さないという打ち方である。細かい部分ではあるが、カン
よりも
の孤立牌を残している。
その後、ツモ番残り2回のところで下石から狙い通りのメンタンピンでリーチが入る。ツモって裏が乗れば逆転の勝負所。園田の気持ちを考えたら気が気じゃいられない、今期絶好調の下石である。根拠はないがツモって裏条件を平然とクリアしてきそうなのだ。
しばらくして園田は1シャンテンに。一馬もカンチャンの
役ありダマテンから、追いかけリーチに。追いかけリーチの理由としては4着と点差がかなり離れており、少しでもチームのために点数を持って帰るためだろう。
一馬からの追いかけリーチを受けて、園田。この時の思考としては、やはり下石に満貫ツモされたらまくられる、しかも2巡目には
をトイツ落とししているため、満貫条件も満たしていると予想。であれば、ドラを切っている一馬に赤が何枚あるかだが、自分が1枚使っているため、その可能性は少しだけ低くなっている。
園田が選んだ牌は
。一馬の当たり牌を一発で放銃し、12000の失点に。結果は下石が逆転トップとなった。
園田はインタビューで「なんてことをしてしまったんだ」とこの選択を反省していたが、リアルタイムで観ていた私としては、そんな選択肢を思いつくのかと園田の引き出しの多さに驚かされた。また、オーラスの下石が満貫条件をつくりにいく選択が非常によく、またそれが園田へのプレッシャーとなり、下石のツモ番はあと1回にも関わらず
を選ばせたのかもしれない。
園田にとって最悪の結果となってしまったが、麻雀の可能性といろんな最高レベルの打ち手がいるMリーグの面白さを実感した局だった。これからも魔術師の異名を持つ園田の選択に注目したい。

日本プロ麻雀連盟所属、プロ歴2年目。
英語、イタリア語が話せる。
麻雀プロの活動を中心にするため大企業を退職し、京都に家族を置いて上京。
現在は日本プロ麻雀連盟本部道場でスタッフとして在籍中。
いつかは書かれる側を夢みておもろい麻雀と服装を実践中。
X:@taknakano














