熱論!21人のMリーガー
小林剛・パイレーツ
〜麻雀サイボーグの
「相対速度読み」〜
文・ゆうせー【U-NEXTパイレーツ担当ライター】
U-NEXT Pirates特集第2弾。本日は小林剛選手の特集です。2018年12月20日の対局に関して、観戦記コラムも書きましたのでよかったらそちらもお願いいたします。
もはや人間技ではない!麻雀サイボーグ小林が弾き出したコバゴーの1択【熱論!Mリーグ】
さて上の記事でも紹介したが、麻雀サイボーグといわれる小林。選択に感情を反映させることがなく、また、アガリ逃しなど「考えてもしょうがないこと」はそもそも気づかないという、対局中の鉄メンタルっぷり。
では、小林は感情がないのか?という疑問が湧いてくるかと思う。果たしてどうなのだろう…
実はものすごく感情豊かなのでは…?というのが私の持論である。その証拠の一つとして、今私の手元にMリーグ選手名鑑(竹書房)があるのだが、個人データ欄にある小林の趣味を見てみると…
趣味 カラオケ
そう、ご存知の方も多いかと思うが、小林はものすごく歌が上手い。麻雀プロによるカラオケ配信番組で、オフコースや徳永英明を情感たっぷりに歌い上げ、会場の空気全てをもっていったこともある。
感情の無い人間が、あんなに上手くバラードを歌えるはずがない、と思うのだがどうだろうか?
さらに調べていたらこんな情報も見つかった。
得意な曲 聖闘士星矢の「ペガサスファンタジー」
…マ、マジですか??本人に確認してみたところ、どうやら得意というわけではないが歌うことはある、とのこと。感情が豊かどころの騒ぎではない。エモーショナル確定。これはもうエモゴーだ。
ちなみに対局の途中でも、打牌選択以外の局面では小林は感情が表情に出るタイプだと感じる。今から前半戦で印象に残ったシーンを交えつつ、小林の麻雀を紹介していくが、その中でもいくつか良い顔をしている場面があったので、特にファンの皆様はぜひ楽しみにしていてください。
小林の麻雀
テーマ1 アガリへの嗅覚
小林は自分がアガれるルートを簡単に閉ざしたりはしない。役牌が鳴けるときに必ずと言っていいくらいポンをするのは、ひとまずはそのルートを確保するためだろう。
手バラからの役牌一鳴きに抵抗がある方も多いと思うが、19字牌の全ての牌を使えて、人の捨て牌も利用できるというのは大きい。また、対戦相手からみると、ドラが何であれ「もしかしたらドラが固まっているかもしれない」という警戒心はぬぐえないという側面もある。
小林の手順を見てみよう。
10月18日(木)2戦目
北家の小林。親から出たを一鳴き。まずは役を確定させる。親の現物だからといって遠慮なんてしない。そして、
ここは打。ブロックが足りないので、数牌を残して字牌を切っていく。
を引いてリャンシャンテンに。やにくっつけての1000点が本線か。
ここがポイントだ。ドラのを持ってきた小林。ここで切り。引きでドラが使えるこの手格好。自身の打点上昇を見てドラを残した。ドラを切ってしまうと周りにナメられる、というのもあっただろう。
普段から「よく1000点をアガります」と言っている小林。この言葉の意味は「なんでもかんでも1000点にしてアガります」ではない。「1000点にしかならない手でも、しっかりアガりをとりますよ」という意味なのだ。
ここは1000点コースを狭めてドラを残した小林。いったいこの手は何点になるのだろうか…
ここは淡々としたポーカーフェイスの小林。高そうにも安そうにも見えてくる表情だ。
次巡、
を引いた。何を切る…
小林の選択は打。マンズの一気通貫狙いと、中盤に差し掛かるので危険な余剰牌を持たないのが狙いだろう。
次に引いたのは、
なんとドラの。3900以上が確定だ。さらにもうひとひねり、
小林はを切った。ペンのつり出しや、を引いての落としまたは落としという満貫コースも狙うという攻撃面と、手に端牌のを内蔵しておく守備面とを兼ねた、味な一打だ。
2巡後、
「ポン」
寿人から放たれたドラを小林がポン。待ちでテンパイだ。役牌仕掛けの優秀なところは、このあとさらに待ちを変えられる可能性があるところだ。実際変えていたかは微妙なところだが、引きのシャンポン、引きやポンからの単騎受け変え…色々と融通が利く。
結果は、テンパイした萩原からが出てこの形のままで出アガリ。