熱論!Mリーグ【Tue】
軍師・勝又健志の
「ツモ切りリーチと先切り」
風林火山に隠された
二つの計略
文・渡邉浩史郎【火曜担当ライター】2020年1月28日
ドリブンズの劇的な4連勝でMリーグの勢力図も分からなくなってきた。
昨年ファイナル出場の、いわば大国といえる4チームの凋落。まさに下剋上だ。
このままではいられないのは、昨年レギュラーシーズンを安定感抜群で駆け抜けたEX風林火山。
やはりこの状況を脱してくれるのは麻雀IQ220・軍師勝又健志しかいないだろう。
1戦目
北家 小林剛(U-NEXTパイレーツ)
以上のメンツで行われた一戦目、見ていこう。
風林火山に隠された計略その1
知りがたきこと陰のごとく
難知如陰
自分の戦略は暗闇の中のように敵に知られないようにする
ツモ切りリーチの計
【東1局1本場】
二人テンパイで流局した次局。ジュンチャンや一気通貫が見えるイーシャンテンから持ってきたのは役無しテンパイとなる。ここは……
ダマテンを選択。
小林と沢崎の河を見るとが早く、は対子で持ってない=山にいてもおかしくないように見える。しかし、いかんせん自分の手は赤無しドラ無しの愚形。を暗刻で持たれていたり、を使える形で押し返されてしまえばたちまち大ピンチになりうる。現状見えている情報だけでは、リーチの判断をしかねるという考えだろう。
テンパイを取らないという選択もあったが、沢崎・白鳥と強めの中張牌が余ってきている。緊急回避のツモの線を消さずに、一手替わりの平和等を逃さないようにしようという判断だろうか。
しかし2巡後……
ツモ切りリーチに踏み切った!
状況の変化としては小林のドラツモ切り、白鳥の対子落とし、自身の目からが三枚見えになったといったところだろうか。
恐らく一番大きな要因はが三枚見えになったことであろう。
→手出し→手出しの沢崎の河も加味すると、沢崎がもう一枚を持っているケースが考えられる。その場合はノーチャンスとなり、誰の手でも使いにくい牌になる。
またツモ切りリーチが相手に与える印象というのも見過ごせない。
ツモ切りリーチというとやはりまず第一に高打点という印象が付きまとう。リーチによる打点上昇が大事な中打点、低打点では即リーチになりがちだからだ。
その他にも、手替わり待ちだが巡目が進んだ、役無しテンパイだったけど今切られた牌によっていい待ちであることを確信したなど、様々あるため、ツモ切りリーチを受けた側としてはただのリーチよりもネガティブな印象があるだろう。
そのほかにもが二枚切られて手替わりが薄くなった、ドラが河に放たれた、他家の手出しの動向などの複合的な情報を基に、麻雀IQ220が導き出した選択がツモ切りリーチだったのだろう。
このリーチを受けた沢崎。本来なら通るはずの、リーチの直前に切られた南でさえ怪しく感じ、安牌ので手を進めることなく現物のを抜いていった。
アガリには結びつかなかったものの三人テンパイで流局。
勝又はこうしたダマテン→ツモ切りリーチという選択が多い。いうなれば”リーチ保留の選択”をする打ち手だ。
これは河の情報を読み取ることに長けている選手だからこそ、
「現状の情報では正解が分からないけれど、後になって他家から情報が出れば、それに適した選択が取れる」
というところなのではないだろうか?
それにしても今回のような安手や七対子の中牌待ち、タンヤオ一盃口ドラなど様々なツモ切りリーチをこれまでも見せている勝又である。相手からすればまさに“知りがたきこと陰のごとく”だろう。
風林火山に隠された計略その2
動くこと雷霆のごとし
動如雷霆
自分が動くときは雷のように鋭く激しく
供託獲得の計・先切りの計
【東1局2本場】