近藤誠一はなぜラスを引かないのか⁉︎その悪魔的頭脳と左手が導く選択【熱論!Mリーグ】担当記者:渡邉浩史郎

もし最初のテンパイを取っていればここで12000の放銃か、降りかを選択することになっていただろう。

アガリこそ無かったものの、1500点の収入を得ることができた。もし仮に放銃していれば-12000点、ノーテンであれば-1000点。こう考えれば差し引きで13500点分の価値がある押し引き判断であったと言えよう。

近藤の21連ラスなし、その理由をうかがい知れる一局であった。

【東1局3本場】

2本場で内川の4000オールが決まっての局面。ここから切り。安全牌のや少し場況がいいカンのターツを残して、の横伸びを見た柔軟な一打。

目先の広さを見てを切っていたら捉えられていないこういった両面。今局はアガリに結びつかなかったものの、こういった大きく打つ手牌構想力が、今シーズンでは特に大きく成功している印象だ。

この局はまたしても内川の12000のアガリ。これで内川は70000点を超え、3者はほとんど2着争いにシフト。放銃してしまったたろうが少し厳しい展開になった。

【東1局4本場】

今シーズンの近藤は配牌の良さも一級品だ。

二巡目でこの形。ここから打。いわゆる6ブロックに構える。

をポンしていく前提だと一般的に5ブロックに構えるのがいいとされているが。この手は門前でも十分戦える手。引きや引きでのタンピン移行も考慮した”大きく打つ”打法だ。

またここでを切っておくことで後のの出やすさも変わってくる。今回は既にが二枚切れているため難しいところではあるが。先述の理由も踏まえてこうしたのだろう。

しかしこの局はたろうに2000は3200点の放銃。下の争いがさらに競ってくる。

【東3局】

強いと評判の近藤の親番。

2巡目でこの形。Wが対子に両面が三つ。打点はともかくテンパイまでは辿りつきやすそうだ。

しかしファーストテンパイは同巡の内川。なんとタンヤオ一盃口・ドラドラの満貫。待ちこそカンと悪いものの、強烈な手だ。

当然内川はツモ切るこのを……

近藤がなんとポン!!

現状七対子の2シャンテンで、形的にも巡目的にもまだ門前でいけそうな手。Mリーグでの近藤のイメージからしてこれを仕掛けるとは思わなかった。

そして打。これはトイトイでの満貫を見た一打だ。テンパり方によっては2900での両面アガリもするだろう。

それにしても近藤がこうした仕掛けをするのは返す返す意外だ。まるで

「内川君がテンパってるな……ここは門前で進めるよりは仕掛けてスピードを上げよう。あわよくば打点もつけよう」

と見透かしているようだ。もちろんそんなことはない(と思う)のだが、近藤ならそれくらいのことなら出来そうだと我々視聴者に感じさせるのも無理はないだろう。

しかし他家も黙ってはいない。

たろうはを暗刻にして、赤が二枚。

松本もメンホンのイーシャンテンになっている。ぶつかり合いは必至だ。

近藤もテンパイ……だがこれは役無し。トイトイのリャンシャンテンでもあるためこれをキープしつつ、打

近藤の仕掛けと河は他家から見ればかなり役牌が絡んでいそうに見える。しかしたろうも松本も勝負手。生牌、発をどちらも勝負していく。

を引いてノータイムで切り。

これでWをポンできればドラ単騎の満貫だ。

たろうもテンパイ。が出ていく形だが、現状そこまで通りにくい牌でもないため、切り出していく。

松本もメンホンテンパイ。

だが出ていくWは近藤にもたろうにも超危険牌。ここは……

勝負に出た!!これをポンして近藤も満貫テンパ……

!?

スルーした!!!!

明確に押してきているたろう、Wを切ってきた松本、共にテンパイは明白であろう。内川も濃いところをずっとツモ切っており不気味だ。押しっぷりから察するに、どこかにドラが固まっていてもおかしくない。

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