
湧き上がる感情をおさえるかのように、村上は静かに静かにを置いた。
次巡の村上のツモは。これはツモ切り。

このに寿人の声がかかる。
待ちのテンパイ。
寿人がツモアガったり、他家から出アガったらまだいいが、村上が放銃するとドリブンズの条件が苦しくなってしまう。寿人には打ちたくない。
「リーチ」

勝又からもリーチが飛んできた!
追いつけるか、村上…

追いついた!!ツモり三暗刻のテンパイ!
リーチツモタンヤオ三暗刻赤、ツモなら一発裏か、裏裏か、裏3条件。
和久津からの直撃なら、リーチタンヤオ赤、一発裏裏か、裏3条件だ!

「リーチ」

いつものハッキリとした明るい発声ではなく、想いを込めて絞り出した、そんなリーチ発声だった。
倍満ツモでトップ。今シーズン、ドリブンズにはそんな奇跡が起こったではないか。

今でも鮮明に蘇る、丸山奏子のデビュー戦。

打たれたハネマンのアガリをスルーして、最後の手番でツモりあげた、この美しい倍満。

歓喜にあふれた控室。

おさえきれなかった想い。

あのときの感動を、もう一度。もう一度ドリブンズに。
しかし、村上はなかなかツモることが出来ない。
そして、

和久津が持ってきたこのが、Mリーグ2019レギュラーシーズン最後の打牌となった。

勝又のリーチタンヤオ、2600のアガリ。
2018年度の王者、赤坂ドリブンズ。2019年は7位でシーズンを終えた。

2月に入ってからは、ボーダー争いを巡ってのマークがきつく、着順争いで楽をさせてもらえなかった印象が強い。その理由は、昨年度のドリブンズの強さを相手チームが認めているからに他ならないだろう。
それでも、一時期500ほどあったマイナスをここまで減らして、最後の最後までセミファイナル進出争いを繰り広げたドリブンズの闘いぶりは本当に素晴らしいものだった。心からの賛辞を贈りたい。
しばらくの間、Mリーグでドリブンズの姿が見られないのはやはり寂しい。
私は、そしてドリブンズファンは心待ちにしている。

英気を養って登場したMリーグ2020で、1位を量産して暴れまわる赤坂ドリブンズの姿を。
京大法学部卒の元塾講師。オンライン麻雀「天鳳」では全国ランキング1位。「雀魂」では4人打ち最高位の魂天に到達。最近は、YouTubeでの麻雀講義や実況プレイ、戦術note執筆、そして牌譜添削指導に力を入れている、麻雀界では知る人ぞ知る異才。「実戦でよく出る!読むだけで勝てる麻雀講義」の著者であり、元Mリーガー朝倉康心プロの実兄。x:@getawonarashite