2件リーチを受けた和久津。
リーチをしているのは
親番、2着目、トータル3位の渋谷ABEMAS・白鳥。
子方、ラス目、トータル4位のKADOKAWAサクラナイツ・沢崎。
どちらのアガリがうれしいかと言えば、間違いなく沢崎だ。
しかも沢崎には満貫を放銃してもトップ、万が一のハネ満だと逆転されるが、それでも直近のライバルであるパイレーツやABEMASよりは上の着順で試合を終えられる。
しかも沢崎がアガれば、かなりの割合で首位・パイレーツとのトップラスを決められるのだ。
このシチュエーションを、和久津はどこかで想定していたのだろう。
オリることもできたが、選んだのは白鳥の現物であり、沢崎に通っていない。
これに沢崎がロンの声をかけ、3900は4200のアガリで試合は終わった。
しかも白鳥はリーチ棒を出したことで、沢崎にまくられて3着に。
結果論ではあるが、白鳥にはシャンポン待ち以外にもテンパイ後の単騎、単騎など、振り返ればさまざまなアガリルートがあった。
麻雀では良くあることとは言え、最善と信じた選択が裏目に出ての着落ちに、白鳥も思わず顔を覆い、がっくりと肩を落とした。
第2回戦は、大物手が飛び交った第1回戦と比べると展開的には地味だったとは思う。
しかし、一つひとつの選択が積み重なっての結果には、同等の重さがある。
両極端な戦い、これもまたファイナルだ。
息詰まる一戦を制した和久津。
フェニックスと言えば魚谷侑未・近藤誠一という二枚看板がクローズアップされることが多いが、茅森早香、そして和久津も、シーズンにおいて重要な役割を果たしてきた。
特に和久津は、2019年最終戦、2020年初戦、レギュラーシーズン最終戦、セミファイナル最終戦など、チームにとって節目となるような試合に登場し、その多くで勝利を収めている。
試合後、会場を去るときにはカメラを一瞥してピースサイン。
なんともカッコいいし、こうした気持ちの余裕を持てていることこそ、和久津晶という選手の強さであり魅力なのではないかと思う。
そういえば、最近出演したミュージシャンのPVでも、麻雀プロとは思えないスタイリッシュなバトルシーンを見せていた。
これでファイナル全12戦のうち、6戦が終わった。
レギュラーシーズン1位のセガサミーフェニックスが3トップを獲得して首位に立った反面、ファイナル開始時点で首位だったKADOKAWAサクラナイツはトップがなく4ラスと大きく失速、マイナス域に転じている。
残り6戦ではこれまで以上に、卓内のことだけでなく、チーム状況を意識しての選択が見られるだろう。
セガサミーフェニックスがこのまま逃げ切るのか。
U-NEXT Piratesがさらなる爆発を見せるのか。
唯一ラスのない渋谷ABEMASが巻き返すのか。
KADOKAWAサクラナイツがここから大逆襲に転じるのか。
一戦たりとも見逃せない戦い、みんなで最後まで楽しみましょう。
さいたま市在住のフリーライター・麻雀ファン。2023年10月より株式会社竹書房所属。東京・飯田橋にあるセット雀荘「麻雀ロン」のオーナーである梶本琢程氏(麻雀解説者・Mリーグ審判)との縁をきっかけに、2019年から麻雀関連原稿の執筆を開始。「キンマweb」「近代麻雀」ではMリーグや麻雀最強戦の観戦記、取材・インタビュー記事などを多数手掛けている。渋谷ABEMAS・多井隆晴選手「必勝!麻雀実戦対局問題集」「麻雀無敗の手筋」「無敵の麻雀」、TEAM雷電・黒沢咲選手・U-NEXT Piratesの4選手の書籍構成やMリーグ公式ガイドブックの執筆協力など、多岐にわたって活動中。