どれだけ足掻いても掴めない初トップ…それでもがむしゃらに前を向く萩原聖人の姿勢【Mリーグ2020観戦記11/30】担当記者:山﨑和也

ドラを暗刻にしてイーシャンテンだったところに4枚目のを引いた。

力強くカン。ドラ4の圧をかけていく。しれーっとツモ切って打点を隠すかと思ったが、捨て牌に萬子の少ない下家の滝沢に鳴かれると判断しただろうか。

嶺上牌。ここは選択を迎えた。を切るか、を切るか。比較は難しい。

藤崎はを切った。これはタンヤオに移行しましたよというアピールもあるだろうか。

と思ったら②を引いてしまった。これは痛い裏目。筆者なら「キーッ」となってツモ切ってしまいそうだが、ここは冷静に手の内に残し、を切った。

これが大正解。を引いて見事テンパイを取れた。を切ってタンヤオドラ4の待ち。当然ダ……

マではなかった。リーチをかけてツモりにいったのだ。

そして衝撃の結末を迎える。

なんと一発ツモ。

リーチ一発ツモタンヤオドラ4で見事ぴったり倍満、8000オールとなった。恐ろしい。

余談だが、先週の将棋界でも『忍者屋敷』こと将棋界の忍者である屋敷伸之九段が評価値1%のところから大逆転勝利を収めていた。麻雀で例えると、オーラス倍満条件を満たすような感じだろうか。本当に忍者って怖いですね。

(佐々木さんみたいなことしてきた……)と滝沢も呆然。東場で痛めつけていた藤崎からの追い上げでトップを明け渡すことに。同時にもうひとり焦る男もいた。もうお分かりだろう。

南2局1本場

雷轟電撃(らいごうでんげき)の展開の中でラス目に立たされてしまった萩原。6巡目で自分の手は平和のみのテンパイに。ここで、もうちょっと打点が欲しいと見たか、を切ってとりあえずダマテンを引けばタンヤオにはなる。

しかし次巡、を引いて思い直したかのようにリーチを放った。を引く確率よりもを引く確率のほうが高い。ならばシンプルにリーチがよさそうだ。一巡のためらいはあったが腕が振れている。霹靂一閃(へきれきいっせん)の一撃なるか。

……なかなかツモれない。2着まで点差が競っているので700―1300でも助かるのだが……

最終盤、同じくテンパイしていた親の藤崎にが。連荘を狙おうと思えば切りたくなる牌だ。

 

すっとを切ってテンパイ崩し。お見事。そういえば魚谷、藤崎、滝沢はガチガチの守備力を誇る。やはり脇からの放銃はそう期待できない。

流局となったが、これをツモれんかねと思わず嘆きたくなる。萩原の苦悩は続く。

南3局3本場

微差で3着に浮上したものの、前局で滝沢が3900は4500点+供託1000点を手にし、2着と差をつけられてしまっている。手格好はまたも平和系。上図ではを切った。

次巡にを引いてを残した甲斐があった。うまいこと筒子が伸びる。

ここは浮いているドラのをリリース。つい重ねたくて残してしまいがちだが、これは好判断のように思う。萩原にはラス親があるので、そこまで大きな手を目指さなくてもよさそうだ。変化によっては123の三色も狙えるか。

次巡にツモ切りのあと、を引いてテンパイ。きれいに筒子の三面張が残った。

もう迷わない。平和のみだが今度こそ渾身のリーチ。この、山には7枚もいた。

しかし延々とツモ切りが続く。その中で藤崎にも終盤でテンパイが入った(打)。待ちはだ。魚谷が直前でを通している。

その直後、滝沢から出たをしっかりと闇討ち。直前の切りがやや強めの牌だったので、滝沢としては痛恨の放銃だったようだ。を切る直前に悩んだ様子も見せていた。

ミスったと言わんばかりの表情。悔しさをにじませる滝沢。

もっと悔しいのは萩原だろう。三面張でもアガれないとは。

いよいよオーラスを迎えた。萩原はラス親なのでアガりまくればいい。しかし3着の魚谷との点差が近くなっている。誰かが700―1300のアガりを決めると親被りでラスに落ちてしまう緊張感のある立場だ。

きたぞ好配牌。まずは1枚目、山に手を伸ばす。

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