常識を変えた鳴き麻雀
なぜ小林剛は放銃を
しないのか?
文・危険な鬼太郎【火曜担当ライター】2020年12月1日
常識を変えた鳴き麻雀。何故小林は放銃をしないのか?
昭和の時代にはモロ引っかけリーチをする人は嫌われたという。例えば4pを切ってリーチしてのカン7p待ちだったとしたら汚い待ちだと思われた。筋は基本的に通る牌なのでその牌で待つのは卑怯だと。
しかし今はそういう事を言う人は少なくなった。麻雀が全国に普及しモロ引っかけリーチの筋は危険すぎると皆が理解したからだ。筋を切る方も切る方で放銃のリスクを重々承知して切るようになっていった。
鳴き麻雀にしてもそうだ。決着巡目が早くなる鳴き麻雀はとかくメンゼン派の雀士から嫌われたが、最近はそういう風潮も少ない。鳴いて手牌が短くなれば手牌が読みやすくり、安易な放銃をしない人が増えていった。
時代とともに麻雀の常識は変化していき、全国の雀士達のレベルも飛躍的に高くなっていった。
【2回戦】
南家 堀慎吾(KADOKAWAサクラナイツ)
西家 小林剛(U-NEXTパイレーツ)
その鳴き麻雀の代名詞とも言える小林がメンゼンで手を進める。
けっこうブクブクに手牌を構えながら七対子のイーシャンテンになった小林。手牌の形も真ん中の対子が多くて順子ができにくく、ここは3枚切れで絶対に重ならないを切るかと思いきや…。
ここは打。七対子にほぼほぼ決めはしたが完全安全牌のだけは離せない。残している中張牌がどれもタンヤオを目指して残していた牌で良い牌では無く、重なりが期待しにくい。そんな牌を残して安全牌のを切るのは流石に怖すぎるか。
小林が聴牌。
上手くを重ねる物だなと感心してしまう。は3枚見えでも直前に親に切られて2枚切れ。解説の滝沢は
「も3枚切れで目に見えて山に無いし、が2枚切れなのでいったん単騎にして理想的な牌を待ったらどうか?」
と言っていたが小林は
小林にしてみればこれは切りで単騎の聴牌を取る構想しか頭になかっただろう。
これはの出アガリの3200やツモの6400も大きいのもあるが、親と下家に対してが現物で手の中に置きやすいのも大きい要素だ。二人に通る安全牌で待っていて、偶然のツモの1600-3200対応にもしたい。
イーシャンテンで手の内もドラと赤で十分にマンガン以上の手が見える勝負手。たろうもシャカリキに聴牌を目指しに行く。
小林がモロ引っかけリーチを打つ。
これはもうこの世で最高と言ってもいい待ちの待ちだ。のカンが入っていてが他家は使いにくく、さらに新ドラのも2枚切れ。山にありそうな牌だ。
モロ引っかけリーチとは言えが無い状況で小林がやという牌まで切って、の形でそこまで引っ張るのか?危険なは先切りをして安全牌を持つんじゃないのか?と思えばこのは他家からの降り打ちも期待できる。
小林の捨て牌から七対子には見えにくく、を対子以上で持っている人からの降り打ちも十分期待できる。
この待ちは小林の読み通り山にあり、他家もこのは使いきれない手牌だったが勝負の手にならずに全員が降りて流局。
東3局1本場供託1本 親・小林 ドラ
小林得意のカンチャンチー!
ドラ表示牌のカンをチーして打。タンヤオに渡る。小林曰く2900点は勝負手になりえるので、この好形のイーシャンテンの形が残るチーをしない事は小林の中ではあり得ない。
小林がすぐに聴牌。
タンヤオドラ1の待ちだ。この巡目の待ちならば小林もアガれる感触も物凄くあるだろうが、これが中々アガれない。
これに堀が追いついてリーチ宣言!
単騎の七対子でのリーチへと踏み切った。2枚見えの地獄単騎のでリーチをしたくもなるが、とが自分の目から4枚見えていて他家には2sが絶対に使えずこのは丸々2枚山にいそうだ。
皆序盤にやを切っていてを持っているようには見えず、しかも場には1枚切れ。他家が暗刻で持っているケースも無い。
が2枚山に居る事が分かっていれば、わざわざ地獄単騎のでリーチする事もないが…惜しむらくは。
手牌が悪すぎる松本がを対子で持っていて山に残っていない。
しかしそれが分からない他家は堀のリーチが怖すぎる。粘っている小林がド無筋のを掴んで時を止める。
はとりあえず行っては見たものの、このは流石にキツイ牌だ。場にピンズの真ん中は全く見えておらず、堀のリーチにも無筋の数は少なくって行きこの待ちは本線に近い牌。
「を切っても回れる…」