冬眠無視の鬼プッシュ! 瀬戸熊直樹・父に捧ぐ会心のアガリ【Mリーグ2020観戦記12/11】担当記者:真中彰司

しかしこのとき瀬戸熊、意外にも冷静だった。

実は白鳥、切りからの3巡で1面子を逃している。

受け入れ最大に取る以上、致し方ないことではあるのだが…もう1つの懸念があった。

と切ることにより、マンズはほぼ通りそうな河になってしまった。

つまり、自身の河が「弱く」見えてしまったのだ。

白鳥の河に生まれた一瞬の隙を、瀬戸熊は見逃さなかった。

安全牌のを落として、

をポンして待ち。

1500点のテンパイだが、あの配牌から両面待ちになれば十分すぎるだろう。

さらに4枚目のドラを引き入れ、わずかだが打点アップ。

「この手はアガれる」

瀬戸熊もきっとそう感じていただろう。

期待を胸に、最後のツモに力を込める。

その刹那、瀬戸熊の手は踊るようにトルネードを描き、手牌の横にが叩きつけられた。

1500の手が2000オールに。点棒的にはそこそこだが、非常に気持ちの良いアガリだっただろう。

そして、このチャンスを逃さないのが、瀬戸熊直樹という選手なのだ。

東4局1本場

しかし、そんな瀬戸熊の連荘を阻む者が現れた。朝倉だ。

十分すぎるイーシャンテンから、を引いて待ちでリーチ。

この、リーチ時点で山に残り6枚。

対する瀬戸熊はまだイーシャンテン。

この局は99%、朝倉の勝ちだ…視聴者も朝倉本人も勝ちを確信していただろう。

それでも瀬戸熊は慌てることなくゆっくりとツモ山に手を伸ばし…

薄いを引き入れた!

待ちで追いかけリーチを放つ。

しかし実況から悲しいお知らせが飛び込んでくる。

実はこの

山にはドラのが残り1枚のみ。

やっぱり朝倉の勝ちじゃないか!すぐにでもツモリそうだ。

そんな朝倉の次のツモは…

だ…!?

なんとこれが、最後の瀬戸熊の当たり牌。

6対1の圧倒的に不利な勝負を制し、トップ目から12000点を直撃した。

「これが日吉の言う”風”ってやつなのかもしれないな」

南1局3本場

完全に流れをつかんだ瀬戸熊。この局は親の滝沢の2副露が入るが…

自身のテンパイに合わせてドラのを躊躇せずに勝負。

そして何事もなかったかのように5200点を滝沢からアガリ切った。

涼しい顔で恐ろしいことをやってのける瀬戸熊。まさに”冬眠知らずの暴君”だ。

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