魔王復活、佐々木寿人の爆勝劇 その陰で、敗れながらも強さを示した堀慎吾【Mリーグ2020セミファイナル観戦記4/22】担当記者:東川亮

堀の、この試合最後の打牌も興味深かった。

オーラス、寿人が堀の切ったドラ【南】を鳴き、ダブ【南】ドラ3で満貫以上の打点が確定している状況。

堀の手は終盤に【2ピン】【5ピン】待ちテンパイとなる。

しかし、彼はこのテンパイを取らず、手を崩した。

現状ラス目の堀としては、何とか萩原をまくって3着でこの試合を終えたい。

しかし自身の手はリーチタンヤオのみで、萩原とは6300点差。

逆転のためにはリーチをかけたとしても、ツモ・直撃を問わず一発か裏、【赤5ピン】などを絡める必要がある。

このとき、堀は別の可能性による着アップを見ていたことを、試合後に明かしてくれた。

「萩原から寿人への放銃」だ。

萩原はオーラスの親番、チーム状況を考えれば、可能な限り点数を稼ぎ、着アップを目指したい。

たとえアガれなかったとしても、少なくとも連荘は狙いたい場面だろう。

つまり、ある程度攻める萩原が寿人に放銃、それによって着順がアップする未来があり得ると考えたのである。

また堀がリーチをかけた場合、寿人と堀に挟まれた萩原は、リスクを考えて手を崩し3着を受け入れる可能性が出てくる。

そうなれば、自身がラスを引く可能性は著しく高まってしまう。

2つのルートを考え、より良い未来を迎える可能性を見据えて選んだのが、自身のアガリを捨てることだったのだ。

スコアだけを見れば、堀は大きく負けた。

しかし、堀がただ負けたわけではないことは、この試合の数々の選択を見れば分かるはずだ。

結果にこそ結びつかなかったが、今後の戦いではその選択が4着を3着に、2着を1着にすることもきっとあるだろう。

寿人も強いが、堀もまた強い。

それぞれに違う強さの形が提示された、興味深い一戦だった。

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