鬼に金棒、多井隆晴に点棒! 憎たらしいほど隙がない磐石の攻守とゲーム回し【Mリーグ2020セミファイナル観戦記4/23】担当記者:渡邊浩史郎

【東3局1本場】

トップ目の多井に立ちはだかるのは……

滝沢だ。なんと二巡目にして

タンヤオ・三色・赤・ドラのチーテン。

滝沢の両面チー打【6マン】

どう考えても異常事態。

多井も思わずこの表情。何せ相手はあの滝沢だ。3900以上、いやマンガン以上の聴牌と断じても文句はないレベル。多井の手牌から追いつき、追い越す可能性の薄さを考えると降りたくもなるレベル。

それでも素直に手牌を進めて6巡目。一向聴に取るなら園田が通したドラの【4ソウ】切りだが、ここは後の変化に柔軟に対応できる打【9ピン】のシャンテン戻し。

そしてなんと追いつく!!

この半荘の結果を左右する捲り合いとなった勝負。制したのは……

多井だ!!滝沢から出アガリ、裏ドラも乗っけて7700は8000の大きな直撃!!これで40000点代のトップ目に立つ!!

【東3局1本場】

もはや皆さんも耳にタコができるほど聞いたであろうフレーズ

「鬼に金棒、多井に点棒」多井の鉄守備モード炸裂。現状ブロック数が足りない手牌だが、ドラの【5ソウ】周りで一面子作れて打点が伴った時だけ前に出るための安牌残し。

【5マン】【赤5マン】引きで【1ピン】の対子落としへと移行するための牌だろうか。こうなった多井から点棒を奪い取ることは困難だろう。

滝沢のドラ単騎七対子が入るも、当然ベタ降りで安全に局消化成功。一分の隙も見せない。

【東4局】

追う立場、ラス目の寿人から先制リーチが入る。

これを受けて多井。一気通貫ドラドラの聴牌。さすがに一枚切れの【北】くらいは切っていく。

【6ソウ】を引いてシャンポンに受け変え、

無筋の【8ソウ】をプッシュ!

マンガン振ってもまだトップの東場という現状を踏まえて、ここはリスクの取りどころ。多井の目から結構な枚数赤とドラが見えている上に子供のリーチということもあって、ここは目に見えたマンガンの加点を狙いに行く。

守備型の多井でさえトップ目から押すということは、この手この巡目この牌から降りていてはいけないということ。

「黒沢でさえ鳴く牌」「たろうでさえ降りる牌」に加えて「トップ目の多井でさえ押す牌」が「~でさえ」シリーズの仲間入りだ。

「~でさえ」シリーズには毎回きちんと結果が伴っている気がするのは私だけだろうか。むろんそれほど重要な、選ばなければミスともいえる選択であるということなのであろう。

続く【南1局】では共通現物がない二軒リーチに親の現物、子の無筋を選択する徹底した局消化の意識。

【南2局1本場】では不自由なブロックを嫌っての字牌残し、からの後付け聴牌を見事に成功。

【南3局】の自分の親番は高い仕掛けに挟まれながらも当然放銃に回る訳もなく、オーラスを迎える。

【南4局1本場】

ラス親園田が寿人から12000をアガって連荘した局面。

多井は配牌二暗刻。手役まで考慮したときにくっつきが一番弱く、しかも危険度が高い【赤5ソウ】から切りだしていく。

親の園田から切られた【3ピン】をポン!

親の園田の現物を二枚消費、

【東】があるとはいえこの局は決めにかかっている。

親の園田も負けてはいられない。

ドラドラ内臓のこの手、

【6ソウ】をポンして789の三色に向かう。

先に聴牌は園田。二枚切れとはいえ誰も使ってなさそうなカン【8ソウ】待ち。

卓上にいるのは二人だけではない。ラス目の寿人からもリーチが入る。

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