勝負師として、麻雀プロとして Mリーガー人生を懸けた一戦を、勝又健志はいかにして戦ったのか【Mリーグ2020セミファイナル観戦記4/30】担当記者:東川亮

この辺りの見切りはさすがだ。

多井は【赤5マン】もたたき切ったが押すのはここまで、【9ソウ】引きで【5マン】のスジ【8マン】を切り、受けに回った。

勝又の1人テンパイで流局。

14分近い時間を要したこの局は、今後続く、重苦しい展開を予感させた。

東3局

勝又の手は一九字牌が多い。

スタートからは【4マン】【3ソウ】と切りだして少しだけ国士無双を見るが、【東】を重ねたことで役牌トイツが2種類となり、現実的なアガリへと方向転換した。

2枚目の【白】をポン、現状遠くて安い仕掛けだが、守備力はそれなりにあると判断しての発進か。

【東】を鳴いてテンパイを入れ、ツモアガリ。

苦しい配牌を丁寧にまとめて加点に成功した。

微差ながらトップ目で折り返し目前となった勝又だが、やはりこのまま逃げ切らせてもらえるようなメンツではなかった。

東4局1本場、多井がカン【3マン】待ちテンパイ。

直前、鳴けばテンパイとなる園田の【3マン】をスルーしている。

親の現物、しかも鳴いていない牌なので、やや盲点になるか。

 

その後、【7ソウ】をポンしていた親の園田が【白】も鳴いて2副露。

【白】ポン後に【6マン】【赤5マン】と赤含みのリャンメンを払っており、園田を警戒した勝又はメンツから現物【3マン】を抜くが、これが多井に捕まってしまった。

2600は2900の放銃となり、南入。

勝又は26800点持ちの2着目。

現状こそ生き残り条件をクリアしているものの、全くもって安心できる点数ではない。

南1局は園田が【6ピン】【9ピン】待ちで先制リーチをかける。

勝又はペンチャン2つ残りのイーシャンテン、ここからはさすがに行きにくい。

【中】を仕掛けていた親の多井も【9マン】のトイツ落としでしのぐなど、現状アガリは厳しい手牌だ。

だが、このまま守備にまわってばかりの多井ではなかった。

【3ソウ】をカンチャンで鳴いて【3マン】、次巡には【4ピン】を押して前に出る。

しかし園田の【9ソウ】を鳴いてのホンイツテンパイは取らなかった。

ポンをしてテンパイを取るなら、出ていく牌は無スジの【4ソウ】かドラの【南】

リーチに通った牌が増えてきており、いずれのリスクも高くなっている。

このあたりの押し引きはさすがだ。

この鳴かずが功を奏した。

【4ソウ】【南】、どちらも使い切れる上、安全にテンパイを取れる【5ソウ】を引いたのだ。

その後、堀の追っかけリーチを受けるも、多井はラス牌の【南】をツモ。

多井にしかアガれなさそうな凄まじい手順で4000オールを決め、一気にトップ目へと浮上した。

これで勝又は3着目に後退。

やはりこの男が、勝又にとっての「ラスボス」となるのだろうか。

さらに勝又は次局、堀のリーチに放銃して3900(+1本場)の失点。

微差ながら、ラス目まで着順を落としてしまう。

ピンズを並べてからのリーチ宣言牌【4ソウ】、ピンズを釣り出しやすい河を作ってリーチした、堀の細かな手順が光った。

勝又、最後の親番。

条件クリアのためには、ここで何としても挽回したかったが···

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