この辺りの見切りはさすがだ。
多井はもたたき切ったが押すのはここまで、引きでのスジを切り、受けに回った。
勝又の1人テンパイで流局。
14分近い時間を要したこの局は、今後続く、重苦しい展開を予感させた。
東3局。
勝又の手は一九字牌が多い。
スタートからはと切りだして少しだけ国士無双を見るが、を重ねたことで役牌トイツが2種類となり、現実的なアガリへと方向転換した。
2枚目のをポン、現状遠くて安い仕掛けだが、守備力はそれなりにあると判断しての発進か。
を鳴いてテンパイを入れ、ツモアガリ。
苦しい配牌を丁寧にまとめて加点に成功した。
微差ながらトップ目で折り返し目前となった勝又だが、やはりこのまま逃げ切らせてもらえるようなメンツではなかった。
東4局1本場、多井がカン待ちテンパイ。
直前、鳴けばテンパイとなる園田のをスルーしている。
親の現物、しかも鳴いていない牌なので、やや盲点になるか。
その後、をポンしていた親の園田がも鳴いて2副露。
ポン後にと赤含みのリャンメンを払っており、園田を警戒した勝又はメンツから現物を抜くが、これが多井に捕まってしまった。
勝又は26800点持ちの2着目。
現状こそ生き残り条件をクリアしているものの、全くもって安心できる点数ではない。
南1局は園田が待ちで先制リーチをかける。
勝又はペンチャン2つ残りのイーシャンテン、ここからはさすがに行きにくい。
を仕掛けていた親の多井ものトイツ落としでしのぐなど、現状アガリは厳しい手牌だ。
だが、このまま守備にまわってばかりの多井ではなかった。
をカンチャンで鳴いて、次巡にはを押して前に出る。
しかし園田のを鳴いてのホンイツテンパイは取らなかった。
ポンをしてテンパイを取るなら、出ていく牌は無スジのかドラの。
リーチに通った牌が増えてきており、いずれのリスクも高くなっている。
このあたりの押し引きはさすがだ。
この鳴かずが功を奏した。
と、どちらも使い切れる上、安全にテンパイを取れるを引いたのだ。
その後、堀の追っかけリーチを受けるも、多井はラス牌のをツモ。
多井にしかアガれなさそうな凄まじい手順で4000オールを決め、一気にトップ目へと浮上した。
これで勝又は3着目に後退。
やはりこの男が、勝又にとっての「ラスボス」となるのだろうか。
さらに勝又は次局、堀のリーチに放銃して3900(+1本場)の失点。
微差ながら、ラス目まで着順を落としてしまう。
ピンズを並べてからのリーチ宣言牌、ピンズを釣り出しやすい河を作ってリーチした、堀の細かな手順が光った。
勝又、最後の親番。
条件クリアのためには、ここで何としても挽回したかったが···