勝負師として、麻雀プロとして Mリーガー人生を懸けた一戦を、勝又健志はいかにして戦ったのか【Mリーグ2020セミファイナル観戦記4/30】担当記者:東川亮

勝負師として、

麻雀プロとして 

Mリーガー人生を懸けた

一戦を、勝又健志は

いかにして戦ったのか

文・東川亮【金曜担当ライター】2021年4月30日

「人生を懸ける」とは、意外に口にされることの多い言葉だと思う。

しかし、本当の意味で「人生を懸けた勝負」を経験した人は、果たして世の中にどれだけいるだろうか。

https://twitter.com/EX_Furinkazan/status/1376459308393656325

EX風林火山は今シーズン開幕を前に「セミファイナルまでで負けたら、選手3人を入れ替え対象とする」という決意表明を行った。

朝日新聞Mリーグ2020·セミファイナル最終戦を控え、風林火山の順位は4位。

5位·KONAMI麻雀格闘倶楽部との差はわずか9.2pt。

4/30の第2回戦は風林火山のメンバーにとって文字通り、Mリーガー人生を懸けた一戦となった。

打つ当人は、自分はもちろん、他人の運命をも背負って卓につく。

わずか麻雀の半荘1回の結果が人の人生を左右するなんて、馬鹿げたことのように思える。

最終戦を打つのは勝又健志

生き残る条件は2着以上。

立ちはだかるのは多井隆晴·堀慎吾·園田賢という、いずれもMリーグを代表する強者たち。

負ければ仲間もろとも、Mリーガーとしてのキャリアが終わる。

4月30日 第2回戦

東家:多井隆晴渋谷ABEMAS

南家:勝又健志EX風林火山

西家:堀慎吾KADOKAWAサクラナイツ

北家:園田賢赤坂ドリブンズ 

それは、異様な光景だった。

東1局、この試合最初の打牌に、多井隆晴はドラのダブ【東】を選んだ。

手の内が見える側からすれば、確かにこれしか切る牌はないように思える。

だが、対局者からしてみれば、明らかに異常事態である。

恐ろしく手が早いか、高いか。

皆、慎重にならざるを得ない。

必然、各者とも序盤から牌をツモる手が重くなる。

だが勝又とて3巡目でイーシャンテン。

なんとかここで先制を決めたい。

7巡目、多井が【3マン】を暗槓。

いよいよ場が煮詰まってくる中、堀が【西】ポンで応戦する。

場風な上、自身の手は【西】ホンイツ、新ドラ【9ピン】が2枚あって満貫

失点しないよう守るのではなく、ここを一つの勝負どころと見て前に出た。

先制は勝又、【1ソウ】【4ソウ】待ちでリーチをかけた。

多井の手の内は四暗刻イーシャンテン、一発目に生牌【白】を押す。

テンパイか、イーシャンテンなら相当な大物手が入っていると、他3者は改めて感じただろう。

多井が【1ソウ】を4枚にする。

勝又のリーチには切りづらく、かといってそのまま抱えては自身のアガリがなくなる。

 

ならばとさらに暗槓すると、次の新ドラは多井が最初に暗槓した【3マン】

序盤からクライマックスかのようだ。

堀は【4ソウ】を掴み、受けに回る。

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