【西原理恵子 & 山崎一夫】麻雀をギャンブルと見てる人は減っている!

麻雀をギャンブルと
見てる人は減っている

「すみません、コンビニに行きたいので代走お願いします」

フリー麻雀のお客さんに頼まれることがあります。
どうやら不運続きで、軍資金を調達してくるようです。

もちろん、コンビニ強盗じゃ無いですよ。CD機(キャッシュディスペンサー)です。

ゲーム終了後に支払いが足りなかったらお店が立て替えますが、そうならないように、あらかじめ準備するのは立派。
最悪の状況を想定しておく大人の対応ですね。

他のお客さんや店の人からも、「信用できる人」「綺麗に遊ぶ人」として好感を持たれます。

私の観察では(少ないデータとも言う)、こういう人はその後トップまでとは言いませんが、資金調達をしなくても良かったくらいに、順位を上げることが多い。

軍資金に余裕を持つことで、ゲーム回しにも余裕が生まれて、本来の実力が発揮できるんです。
逆に余裕が無いと、親マン+チップ3人分に仕上げるべきチャンスを、安く連チャンしたりとか。

数字で言うと

●アガれる確率を半分にして、収入を3倍にすべき所で、
●アガり確率2倍、収入3分の1。

の選択などです。

期待値はおおむね両項の掛け算、アガリ確率2倍の誘惑に負けてはイケマセン。
余談ですがCD機が登場した頃

「CDって、キャッシュ・ディスポーザー(粉砕機)だっけ?」

と無知を晒したことがあります。

今は店からの貸し出し、いわゆるOUTはほとんどありませんが、かつてはかなりありました。
常連さんが多い店だと、お客さんの半分がOUT客なんてのも。

漫画家の片山まさゆきさんが、かつて明大前駅の近くで経営していた店は、とても繁盛してましたが、OUTも凄かったそうです。
片山さんは優しいので、厳しい取り立てをしなかったんです。

最強位や鳳凰位など数多くのタイトルを持つ伊藤優孝プロが経営していた店もOUTだらけでした。
優孝プロの親友の安藤満プロ(故人)も常連。

「親方よろしく!」

安藤プロが来店して私の卓に入り、すぐに私がアガってチップ1枚オール。

「優ちゃ~ん、OUTよろしく」

 

て、歌舞伎町に来るのに五百円も持ってないんかい。

麻雀もお金も
見栄を張り過ぎない

今は雀荘でお金や対人関係での怖い話はほとんどありませんが、かつては違いました。

暴対法(暴力団対策法)以前の雀荘は、ヤクザやその予備軍、あるいはヤクザ崩れも出入りOK。
でも今はまったくと言っていいいほど見かけません。

法律とその運用の威力で、そういう人たちが食い込むのが難しくなったんです。

昔、私が神楽坂で東風戦と打って痛い目に遭ったことがあります。

普段はピンの1-3の東南戦のフリーなんですが、元ヤクザだと名乗る解体屋の社長が来ると、メンツを募って、2の2-6の東風戦を開帳するんです。

見た目はパンチパーマで吉本新喜劇の島木譲二さん。
大阪名物パチパチパンチとポコポコヘッドの芸人さんです。

「弁当屋さん、この前のリベンジだ。入ってくれ」

弁当屋さんというのは私で、パチンコライターの銀玉親方と、弁当店経営を兼ねていた頃です。

「わしゃ負けるこたぁめったに無いが、アンタとは相性が悪い」

その日も私が好調。
と言うか、社長が負けないと言うのは、部下や周りの人が遠慮しているからかも。

私が連勝すると、社長の機嫌が悪くなるのが分かります。
同卓の部下が気を使って社長をフォローする牌を切っても、それが利用できません。

「弁当屋さん、差しウマだ」

「分かりました」

 

さらに連勝。

差しウマ2倍だ」

「勘弁してくだい。私にはこれ以上無理です」

「てめえ、勝ち逃げすんのか!」

 

まずいな、なんとか逃げなきゃ。
私のリーチに社長が降り打ちした時にとうとうキレました。

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