BEAST Japanextドラフト会議指名オーディション選考会。
3日に行われた予選A卓では、熾烈な闘いの末に新井啓文がファイナルへ進出、竹内元太が姿を消した。強者同士がたった一つの椅子を懸けて、魂を賭して争う様は、激しくも美しい。
間を空けず、翌4日には予選B卓の対局が開催。宮内こずえ・山井弘・菅原千瑛・石橋伸洋。このなかからファイナルに進むのは、敗れて道が途絶えるのは。
■1回戦
初戦は「手なりの女王」宮内が魅せた。
東4局2本場、序盤から真っすぐ手を進めると、ツモり四暗刻の1シャンテンに。受け入れ自体はを切っていったほうが広いのだが、役満をアガれたときの価値は非常に高い。迷わずにターツを払っていく。ちなみにこのとき、石橋がカン待ちのテンパイを入れており、広く受けていたら放銃の可能性もあった
次巡、あっさりとを引き入れてリーチ。待ちのは既に山には残っていなかったのだが・・・
山になくてもアガれるときはアガれるのが麻雀。石橋がほぼ唯一が出ていくを引いてしまった。
リーチトイトイ三暗刻、強烈なハネ満が炸裂。持ち点を減らしていた両者だったが、宮内は一気に浮上、石橋は離れたラス目へと叩き落とされる。
南1局1本場にはカン待ちテンパイからドラのを暗刻にしての単騎ツモ、ドラ3赤赤のハネ満。
南3局にはピンフ赤ドラのリーチをかけると、3枚持ちでがワンチャンスになっていた石橋から一発で打たれ、リーチ一発ピンフ赤ドラ裏、この試合3発目のハネ満。全員が8000点以上のアガリを決める乱戦を打点力で押し切り、まずは1勝目を獲得した。
■2回戦
東2局3本場、菅原に選択。ピンズの一色手か、国士無双か。ただ、いずれにしてもアガリまでは相当遠い。
であれば、ダメだったときに守備力を担保でき、万が一決まったときの破壊力が大きいほうを、ということか。菅原がの暗刻落としで国士無双へと向かう。
この選択から、菅原の手には導かれるように19字牌が押し寄せる。8巡目の段階で、国士無双13面待ちの1シャンテンになっていた。ただ、13面待ちでテンパイした場合は2巡目にを切っているのでフリテンである。
この段階で山井からリーチが入るが・・・
雀頭ができて北待ちテンパイ。山井のリーチに無スジはもとよりドラまで切ってくる菅原に対し、卓内の3者はただならぬ気配を感じていたはずだ。
あれっ、国士無双と言えば・・・
あっ
あっ・・・
まあ、さすがにここからを切る石橋ではない。
だが、リーチの山井は麻雀のルール上、切らざるを得なかった。その手はわずかに、震えていた。
人生を変えるかもしれない舞台で飛び出した役満、国士無双は、この対局を有利に運ぶことはもちろん、視聴者、あるいは関係者にも強烈なインパクトを残した。
菅原は役満をアガった後も3度のアガリを決め、終わってみれば66000点の大トップを獲得。ファイナルへのジャンプアップへ、大きく前進した。
■3回戦
石橋はこの選考会で8名中唯一のMリーグ経験者である。本人としてもMリーグ返り咲きに向けて、このチャンスに対して期するものがあったはずだ。
だが、この3回戦では徹底的に逆風が吹いた。
東1局、勝負手のリーチをかけるも追っかけリーチの山井に一発放銃で開局早々13000点を失う結果に。その後もアガリは安く、放銃やツモられるときは高いという、およそ麻雀における最悪の巡り合わせに見舞われ、オーラスには箱下1万点を下回る厳しい状況に置かれていた。
南4局1本場、2着目の山井に1万点強の差をつけていた宮内は、テンパイしていたもののノーテン宣言をすればトップを確保できるはずだった。
だが、宮内は手牌を開けた。このまま終われば瞬間トータルトップに浮上できるものの、菅原との差はほとんどなく、最終戦は着順勝負になる。
それよりも、親番での加点チャンスを生かし、できるだけ菅原との差を広げることを狙ったものと思われる。
しかしそれは、山井にチャンスを与えることにもつながる。