何もできないまま負けたくない…経験の差か初出場の重圧か、中月裕子＆蒼井ゆりかが貫禄の勝ち上がり　麻雀最強戦2021「女流プロ最強新世代」観戦記【A卓】担当記者：masasio

先ににくっついたらマンズのホンイツにする狙いが本線だっただろうが、うまい仕掛けだ。

この仕掛けを受けた松山がを切ってリーチ。

打ち出すは蒼井の仕掛けにかなり危険だが、このまま黙って見ているわけにもいかない。

めくり合いになればは充分勝機がある。

そして中里も参戦。

こちらは本手だ。

は今通ったばかりなので一瞬ダマテンも考えたが、打点が物足りない。

それに、トップ目の中月がを押した中里に簡単にを切るとも思えない。

中里の切りは、蒼井のテンパイしていそうなマンズのホンイツにを押した松山のリーチに対してさらにを押しているのだ。

アガったのは中里。

力強くを引き寄せて2000/4000

通過に大きく近づいた。

東4局

上下に差がついてきた。

下位陣はどこかで反撃しないと、何もできないまま敗退することになってしまう。

 

そんな思いを打ち砕くように、上位側の中月がドラドラの2巡目リーチ。

ダマテンでアガれるようにテンパイを外す打ち手も居そうだが、自然にリーチを打った。

 

中月と同じく上位陣の中里。

イーシャンテンながらあっさりを中抜いてオリた。

先ほどリスクを取ってリーチを掛けたのが活きて、現状はリードがある。

親番とは言え無理に加点を目指さなくても良いだろう。

このように、麻雀では先にリスクを取っておいた方が、後から有利な選択を取れることも多い。

対照的なのは下位陣だ。

松山は何シャンテンか分からないような手だが、現物を抜かず、のトイツ落としでお茶を濁す。

簡単にはあきらめられない。

 

もう一人の下位陣、蒼井。

安全牌が無く渋々押していたが、今が通った。

何も考えずにを切るかと思ったが、少考の末選んだのは！！

が通っているため当たるなら

そして2枚通せる。

を切っても続かないということで攻守兼用で選んだのだろう。

 

を引いて手が止まる。

安全牌もできたことだし、普通ならこの辺でオリだろう。

いくら三色ドラ１のイーシャンテンとはいえ、肝心のドラがペンチャンという形でぽっかり空いている。

しかし蒼井はをプッシュ。

東2局の松山同様簡単にはあきらめない。

蒼井はプロ15年目のベテランだ。

大きなタイトル獲得はないようだが、準優勝で戦いを終えることが多かったようだ。

恐らくは過去に何度も「何もできずに負けて」来たのだろう。

「もう何せずに負けるのは嫌だ」

そんな蒼井の思いに応えるかのようにを引いてテンパイ。

奇跡のテンパイと言っていいだろう。

ここまで来たら当然リーチだ。はまだ山に残っている。

2021年で一番ドキドキしためくり合いだったかもしれない。

奇跡のテンパイにたどり着いた蒼井が勝つのではないか―

そんな思いもよぎったが、

アガったのは中月。

蒼井がを掴んで裏ドラ１枚でマンガン。