最後に意気込みを聞いた際の魚谷からの返信を載せておく。
「この間、アマチュア最強戦の解説をさせて頂いたんですが、アマチュアの方がプロ以上に麻雀に真摯に向き合っていて良い刺激を貰いました。私もこの気持ちは絶対忘れてはいけないなと。
最強戦は本当に大好きな試合で、麻雀が楽しいと思える唯一の時間かもしれません。
負けたら二度とこの舞台に立てない気持ちで挑戦したいです。」(原文ママ)
ここで注目してもらいたいのが、「麻雀が楽しいと思える唯一の時間かもしれません」の部分だ。
腰掛けに遊びでやっているプロにはまず分からないであろう気持ち。
麻雀に対して真摯に向き合っているからこそ、対局や練習は辛いし、苦しい。
そんな魚谷が「一回勝負だから」と割り切って楽しんで戦える舞台が最強戦である。
存分に楽しんで、そして勝利という結果を見せて欲しい。
ちなみに余談だが、夕食は外食かウーバーイーツらしいです。
茅森早香には前日の夕方電話をしてみたが、留守電になってしまい出なかった。
夜に改めて電話をすると、開口一番で「負けちゃったよー!」と。よく考えたら昨日は女流最高位決定戦の最終日。恐らく夕方の電話のタイミングは最後の山場であったろう。
「最近はビールじゃなくてハイボールばっかりなんだよねー」なんてことを聞きつつ、悪いことをしたなと思いながら、意気込みを聞いてみた。
長い付き合い、茅森がこういう事を答えるのが苦手なのは知っている。
少しの間があり、絞り出すかのようにこう呟いた。
「(Mリーグ)同じチームだし、ゆーみん(魚谷)と一緒に勝ちたいな。でも決勝は私が勝つけど」
麻雀という競技は個人種目である。正直、我の強い人間が集まった業界で、Mリーグのように団体種目にするのは難しいのでは?と思っていた。
しかし、黒沢や茅森のコメントを聞くと、団体種目として成り立っているのが分かる。
思惑通りに同じチームの2人が勝ち上がることができるのか? 期待したい。
今回は同業者の特権で、出場者本人の声を伝えてみた。
というわけで、今回のザ・リベンジB卓の模様は、日本プロ麻雀連盟増田隆一がお届けする。
さて、それでは対局の模様に移ろう。
起家より茅森→魚谷→仲田→黒沢の座順で対局がスタートした。
以前、最強戦で使用するスタジオの独特の緊張感をお伝えしたが、さすがに放送対局に慣れている4人。
模打にもスピード感があり、スッと勝負に入り込めているのが伝わってくる。
開局から面白い。
789の三色が見えているこの形から切りで三色を見切る。
親につき先手を取りたい場面、シンプルに良形待ちを作っていくと言う意図は分かるのだが、カメラが入っている対局で目に見えている手役を見切るのは割と勇気がいる。
あまり表に出すタイプではないが、茅森はそれだけ自分の麻雀に自信を持っていてそれを打ち切る胆力がある。
更に、今度は345が見えてきたこの形も見切る。
打点は、上がれば一発や裏ドラで付いてくる。そんな茅森のメッセージのような局であった。
234の三色が見える形だが、黒沢は更に上を見据える切り。
上がりの回数で勝負は決まらない。あくまで大きく構えて、一撃を狙うと言うメッセージだ。
そして魚谷。
とにかくテンパイを絶対に逃さないブクブクの構え。
先手必勝。これが魚谷のメッセージであろう。
魚谷のリーチを受けた後にこの仕掛け。
やは仕掛けやすく、受けゴマも足りている。これが仲田のバランス感覚。
リーチを受けた後の、仕掛けて1シャンテンの形に。鳴きの判断が難しい場面だが、瞬間的にチーの声が出るあたり、普段から打ち込んでいるのがよく分かる。
麻雀と言う同じ競技をやっているにも関わらず、皆が自分の型を持っていて実に面白い開局であった。
流局で茅森の親が落ちた東2局1本場、親の魚谷から先制のリーチが入る。
同巡に茅森にもテンパイが入る。
ツモ ドラ
これをヤミテン。
確かに打点は足りているが、一発で無筋のを押す上にリーチの現物待ちでもなく、追いかけリーチもありそうな場面。
黒沢からもリーチが入るが、ここは茅森がをツモり上げ、一歩リードした。
東4局、茅森再びこの形をヤミテンに構える。
ドラ