上家園田の4巡目切りリーチが、伊達の表情を曇らせていた。
一方、伊達の手は、9巡目になってアンコが2つあるもののまだリャンシャンテン。トイトイの線もあるが、伊達は鳴いていくのだろうか。

黒沢からが出た!

伊達は微動だにしなかった。
を鳴くと、手牌を短くして安全度が低くなった状態で、
に加えて通っていない
か
のいずれかを勝負しなくてはならない。しかも副露した場合には数牌が横に伸びると安い手になってしまう。
まだ巡目も残っているここは、を受け駒として使いつつ、

このように数牌がスムーズに使えたときに押し返しを狙う作戦に出た。
この場面ではを引いてのション牌
プッシュ。
にくっつきさえすれば
と打って迎撃態勢を取れる。また、
や
を先に引けば三暗刻を引っさげての
勝負も視野に入る。

苦しいラス目でない以上、不安定な形から強引には攻めない。しかし、形が整えば前を向いて押していく。
そんな伊達のバランス感覚。
伊達は、

ション牌のを持ってきて、

押した! 字牌で簡単にはオリないのも、伊達の特徴の一つに思える。
だが、伊達はなかなかテンパイしない。2巡後に、

こちらも通っていないを持ってくる。

こちらは留める。
巡目が経つに連れて、残っている数牌の筋が少なくなってしまった。同様に自分がアガれる、またはテンパイ出来る可能性も下がってきている。ここで手に置いていたをトイツ落とし、リャンシャンテンに戻した。
実況席も視聴者も、「親落ちはやむなし」と思っただろう。
だが、

伊達は諦めていなかった。
闘志を内に秘めた顔つきが物語っている。

瑞原が切った園田の現物を、

「ポン」

と鋭く反応。打とする。
第一打が、リーチ宣言牌が
の園田に、伊達がアンコで持っている
は通るだろう。手詰まる可能性は極めて低い。
アクセルとブレーキを器用に踏み分けて、再び伊達はイーシャンテンに復帰。
そして、

を引き入れた! タンヤオで終局間際にテンパイした伊達。待ちは
。
一方、

園田の待ちは。
両者の待ちは1枚ずつ山に残っていた。
「ツモ」

伊達のツモアガリだ! タンヤオドラ、1000オール。
巧みな打ち回しで、伊達は細いアガリへのルートをつかみとったのだった。

伊達が連荘するも、続く南2局1本場はリーチを打った黒沢と園田の2件テンパイで流局。
親が落ちて、3着目伊達のトップは厳しくなったかに思われた。

だが、南3局2本場。伊達は5巡目にこの手格好に。タンヤオがあるので鳴くことも出来る。
