白鳥翔、してやったり!
存在感を完全に消し去り
前原・沢崎・黒沢の
3大怪獣戦争を制す
文・山﨑和也【月曜担当ライター】2021年1月18日
??「生姜さん(筆者のこと)、なんで前回の記事オーラスから書き始めちゃったんですか。全然前半のこと書いてないじゃないですか」
筆者「書きたいところから書き始める手法を試してみたら熱が入ってしまって」
??「若干文量も少なかったし手抜きに思われますよ。順位戦中継が週に3日もあったからですか」
筆者「反省して次は全局書きます」
??「いやそれは長過ぎる可能性が……」
Mリーグは中盤戦真っ只中。各チームあと32戦でレギュラーシーズンを終えることとなり、それぞれのチーム方針がいよいよ固まってきたのではないか。目を引くのはトップの渋谷ABEMASと2位のEX風林火山。どちらも安定感のある打ち回しが光っている。下位に沈むU-NEXT Pirates、セガサミーフェニックスはそろそろ余裕がなくなってきただろうか。
この日は1位のABEMASが登場。ちょっと気になるデータがあった。
チームがトップに立つ中で、唯一個人ポイントがマイナスだったのが白鳥だったのだ。それほどひどい成績ではないのだが、周りと比べて負い目を感じてしまうのではないか。焦りが出てしまわないだろうか。思わず外野はうっすら見てしまう。
1戦目
東家 前原雄大(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
西家 沢崎誠(KADOKAWAサクラナイツ)
今回は1戦目の模様をお送りする。大ベテランの暴れん坊将軍沢崎、前原に加え、小鶴誠もびっくりの打点王黒沢が集い、乱打戦になりそうな予感がした。
東1局。
全員が戦えそうな手が入った中でまずテンパイが入ったのは白鳥。待ちは。
これに一発で掴んだのは黒沢。は見るからにいらない牌で、自分の手もドラ、があって十分形だ。
黒沢は筋のを切って迂回。派手な高打点志向が目立つ黒沢だが、守備力の高さにも定評がある。
しかし次巡、を引いてテンパイになってしまった。いわゆるこれはを打たないと駄目みたいな格好である。解説の村上淳プロも「テンパって出なかったら大変なことになります。も、もうエスパーよ」というように、待ちが透けていない限り出る。
やはり打ち出された。しかし黒沢、このを「見れば見るほどに見える」(局後のインタビュー)と見て止めるか迷ったそうなのだ。エスパー未遂であった。
裏が乗って8000。白鳥が幸先よくリードを奪う。実はABEMASにとって黒沢は前回松本をラスに沈めた因縁の相手であった。このアガりは松本の敵討ちのようであった。
東2局。
配牌でチャンス手になっていたのは沢崎。ドラ2枚にもあって、南家での対子がある。
しかしは前原の手に2枚あった。持ち持ちになってしまって、沢崎はそう簡単にはアガれなくなっている。
沢崎といえば独特の手順でおなじみだ。いらなさそうなを残し、を先切りして両面を固定。は親の白鳥の安全牌なので残し、を確実に使うためにを切ったと考えられる。
次巡にが重なって打。これでもし待ちでテンパイすれば出アガりも望めそうだ。早々に萬子の真ん中を切っているので不要そうに見えるからである。
中盤に入り、両面が埋まっていってテンパイ。上図からゆっくりとしたモーションで打とし、リーチをかけた。
今シーズンは昨シーズンと違って不調の沢崎。一因としては周りチームによる対策をされて野球界でよくある『2年目のジンクス』に陥ってしまっているのかもしれない。それだけ昨シーズンのインパクトは強烈だった。しかし順位が近いチームがひしめく本日の勝負どころで先発したのは、やはりチームに信頼されている証拠だろう。
さて、待ちのとの在り処だが、は前述の通り前原の手に対子。は山に2枚残っていた。つまりを引いてアガれる可能性のほうが高い。
1枚が前原のところにきた。ドラなので切らないとして、巡目ももう終盤。テンパイをうまく取りながら進めるとすれば何を切るのがいいか。対子で持っているので当たりにくいが出てしまってもおかしくない。
ここは現物のを切ってセーフ。しかしは通っていないので切りづらい。