──セトが本気になったらこんなもんじゃない 盟友から引き継いだ魂のバトン 麻雀最強戦2021「ファイナル 2nd Stage」観戦記【決勝卓】ZERO


新ドラこそ乗らなかったものの、リンシャンからツモってきた【6マン】で、イーシャンテンになった。

しかし

新ドラの【中】を乗せた親・一瀬から【5マン】【8マン】のリーチが入る。

そして瀬戸熊がツモってきたのは…


【5ソウ】
受けは広がったが、浮いている【5ピン】は一瀬の危険牌だ。


【5ピン】は両無筋… 超がつく危険牌だ。
一旦一瀬にアガらせる手もある。

…いや、こんなチャンスが次に来るか?


押すなら今しかない。
瀬戸熊は覚悟を決めて【5ピン】を打ち抜いた。


赤オーラはもうレインボーオーラになっている。

(いけ…)

(頑張れ…)

見ている多くの人が瀬戸熊を応援したのではないだろうか。

そんな中、牌が潰れてしまうのではないかと心配になるくらいギリギリとツモる瀬戸熊。


何だ?

何をツモったんだ?


【7ソウ】だ!

現物の【5ソウ】を切ってリーチを打てる最高のテンパイ!


万感の思いを込め、牌を横に曲げる。

一発なら文句無しで最強位!
瀬戸熊がツモ山に手を伸ばす…!

…がっ


ダメ…!

重なっているところが複数あり、裏ドラが乗りにくい形なので、できれば一発でツモりたかった。

そして次のツモ番だった。

もう、瀬戸熊は周りの景色は一切見えていない。

卓を囲む人間も、その後ろのスタッフも、周囲の雑音も…

瀬戸熊から見えているのは自分の手牌と、目の前のツモ山だけ。


瀬戸熊は静かにツモ牌を引き寄せた。


大事な宝物を扱うように、慎重に手牌を倒す瀬戸熊。

裏ドラが乗れば最強位。

乗らなかったら宮内が最強位になる。

これまでの思いを反芻しながら、ゆっくりと裏ドラに手を伸ばす。


「40008000は41008100」

最後、瀬戸熊は頭を垂れながら申告した。

対局者への感謝。

応援してくれた仲間たちへの感謝。

はっぱをかけてくれた盟友への感謝。

応えてくれた牌への感謝。

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