【須田良規のMリーグ2021セレクト・1月3日】文・須田良規
1月3日(月)、年明けの第1試合である。
このオーラス1本場に、絡み合うが決して交わらなかった、思考の螺旋が二人の選手にあった。
このときの点棒は、東家から、
セガサミーフェニックス・魚谷侑未 45500
KONAMI麻雀格闘倶楽部・佐々木寿人 -3500
KADOKAWAサクラナイツ・堀慎吾 30200
渋谷ABEMAS・多井隆晴 26800
と、魚谷がトップ目である。
そこに堀が15300差、多井は18700差、寿人は49000差という状況だ。
現状だと堀のハネツモ・満直くらいしか魚谷はまくられる心配はない。
ここに寿人から4巡目に待ちリーチ。
ドラはである。箱下であり、寿人にとっては素点回復が目的だ。
これを受けた堀の一発目は
多井とは3400差なので、ここでただハネツモ不確定のまま寿人のリーチに打ち上げることは避けたい。
一旦端牌のをトイツ落としで2巡をしのぎ、タンヤオ系でのハネツモを狙っていく。
そして8巡目、
多井がイーシャンテンとなって、を切る。
多井も寿人のリーチ棒が出たことにより、ハネツモでトップになる。
9巡目。
堀にテンパイ。リーチをすればカンのリーヅモタンヤオ赤赤ドラでハネツモだ。
しかしここで堀は、かなりの長考を入れる。
これは寿人のリーチの受けを考えているというよりは、
全く違う、何か別のことに、思考を巡らせているようだった。
多井にが固まっていることを読んでいるのか。
いや、何か、もっと他の──。
結局堀はを切るも、その牌は縦。ダマテンを選択する。
やはり待ちに満足しないのか、手変わりを待っているのか。
それにしてはちょっと奇妙な間であった。
そしてそのまま数巡が過ぎ、13巡目。
堀がを引き入れ、今度は切りでリーチ。
待ちで、1枚1枚3枚の、計5枚残り。
に受けると待ちは3枚しかなく、
赤赤ドラなのでハネツモ狙いならタンピンに固執する必要はない、ベストの選択。
下家の多井もテンパって、3人目のリーチ。
こちらもハネツモだが、残念ながら山に待ちは残っていなかった。
この結末は、終盤堀が多井からの出アガリをし、マンガンの横移動で終局。
トップは魚谷の逃げ切り。
しかし試合終了後──、魚谷は深々と頭を下げて同卓者に謝罪した。
これは、この半荘中に切り間違いのノーテンリーチがあったためだ。
そのこと自体はただのヒューマンエラーであり、
もちろん出来得る限り避けなくてはならないが、長い競技人生にあっても仕方のないことではある。