ここに立っていることが恥ずかしい 年末に語った白鳥翔の終わりなき旅路【Mリーグ2021観戦記1/11】担当記者:ZERO

それでも次に茅森にアガられたら決まり手になってしまう。

そして自分の手牌の価値は微妙…

様々な要素を勘案し、白鳥はピンズをしまい込む。

こうして朝倉のリーチが間に合い、茅森の放銃を生んだ。

白鳥の我慢が、逆転の可能性を残した。

南場も白鳥は少しずつ茅森に迫りつつ、僅差でオーラスを迎えることになる。

守るも攻めるも

オーラスは朝倉の5巡目リーチが3者の思惑を捻じ曲げた。

これは朝倉のリーチを受けた白鳥の手牌。点棒状況を確認してみよう。

白鳥はアガればトップだが朝倉にマンガンを放銃したら、なんとラスまで落ちてしまう。

朝倉はマンガンツモで3着、ハネマンツモで同点トップまでいくので、少なくともリーチのみやリーチドラ1の愚形などではなさそう。

ここに放銃することだけは許されない。白鳥は現物の【5マン】に手をかける。

こうして現物を並べ続けた14巡目だった。

ふいにテンパイを果たす。中筋である【6マン】を切るか否か。

さきほどは「絶対に放銃は許されない」と言ったが、状況は刻々と変わっている。

終盤に差し掛かり、流局が見えてきたこと。

そして茅森とテンパイノーテンで逆転できること。

さらに朝倉のリーチはツモや裏期待の可能性もあること。(自分にドラが集まってきたのでなおさらだ)

リーチを受けた時点ではハイリスクローリターンだったのが、ローリスクハイリターンに逆転したのだ。この手をアガリきればトップだが、リーチ棒を出してしまうと朝倉との2人テンパイの時に茅森をまくれないので、白鳥はひょっこりツモと流局に期待して【6マン】を縦に置いた。

果たせるかな

その後も現物を切り続け、白鳥はテンパイをキープ。

トップ奪取に成功した。

茅森はあの【7ソウ】放銃がなければ僅差に迫られることもなく、別の展開になっていたかと思うと悔しいだろう。しかしその裏でピンズをおろさなかった白鳥がいた。

焦点の一局と言った意味が伝わっただろうか。

終わりなき旅路

私はつねづね考えている。

麻雀プロとはどういうことだろう。

少なくとも1つ言えることは「麻雀プロである以上、戦いは延々と続いていく」ということだ。

無様な負けを晒した後も、会心のトップを取った後も、必ず次の戦いはやってくる。

だからこそ、その瞬間の結果に一喜一憂することなく、最善を尽くそうとするのだ。

現状に満足してしまったら成長はない。

凡ミスも痛恨の放銃もそこで終わりじゃないし、アガリもトップも優勝もゴールではない。

麻雀プロであり続ける以上、終わりはないのだ。

白鳥はこのトップに酔いしれることなく気を引き締め、次の戦いへの準備をする。

敗れた三者も再起を誓ったことだろう。

──麻雀プロたちの戦いは、ずっと続いていく。

  • この記事が気に入ったら
    フォローをお願いいたします!
    最新の麻雀・Mリーグ情報をお届けします!

  • \近代麻雀新刊&おすすめ/