234の三色は崩れ打点こそ無くなってしまったものの、先制するには十分な手。リーチに踏み込む。
「残ってる!黒沢!!」
直前のターツ選択で払いを選択し、ちょうどが手牌の中で余ってしまっている状態だった。
そこに引いてきたのは。一盃口含みの変化や七対子まで視野に入れるとソーズには手がかけにくい。
河を凝視する黒沢。誰しもが一発放銃と予想したが…。
なんとここからを止めて切りで放銃を回避する!
回避した場面の全体図がこちら。
自分の手の都合だけで言えばもちろん切りになる。
ソーズを残した方が好形変化が多く、なによりを切っている。
ただ放銃しやすさでとを比較するとどうだろうか。
両面・カンチャンのケースではどれも否定されていないため同じ確率になるが、シャンポン待ちに当たるケースの場合は黒沢から2枚見えているため、よりも放銃する確率がやや下がる。
トップ目ではあるものの、チームの状況を考えれば親番で更なる加点が欲しいところ。しかし決して状況に甘えた打牌はしない。
このアガりを諦めず、かつ放銃を可能な限り回避する選択が功を奏する。
直後、魚谷にテンパイが入り追いかけリーチ。
2軒リーチになれば黒沢も現物のを抜きしっかりとオリ。
そして小林が魚谷の当り牌を掴み、リーチ平和赤3,900点の放銃となった。
開けられた裏ドラは発。小林の雀頭だ。
仮に黒沢がリーチに対してを一発で打っていればリーチ一発裏裏の満貫を放銃していたことになる。
この試合、南場で亜樹が大物手を連続で決め、
トップを勝ち取ったのは風林火山だった。
惜しくも連勝を逃した黒沢だったが、
放銃を回避するファインプレーもあって2着をキープ。
1日のチームスコアでは久々のトップとなった。
依然厳しい状況が続く雷電だが、
久々の快勝に喜んだファンも多く、ツイッターではトレンド入りも果たしていた。
雷電のファンはもちろんのこと、雷電が復活することでMリーグ全体が盛り上がることを期待している麻雀ファンも多いのではないだろうか。
調子を取り戻してきた選手のほかにも、雷電にとって嬉しい展開がある。それは他チームのポイント状況だ。
1枚目が1月4日終了時のポイントで、2枚目が本日(1月25日)終了時のポイント。
雷電のチームポイントは減ってしまっているが、注目したいのは5位から7位までのポイント差だ。
4日時は約300ポイントの差だったのが、本日は120ポイントまで縮んでいる。
4日地点でポイント上位のチームがセミファイナル進出を目指そうとすると、7位・8位のチームに対して他の全チームが厳しく打つことになる。
しかし今のポイントでは一概にそうとは言えない。4位〜6位までのチームはボーダーがより近づいたため、自チームが敗退候補にならないよう進める必要があり、下位チームだけに厳しく打つことが難しくなっているからだ。
もちろん雷電自体がポイントを大量に加点しなければいけないことには変わりないので引き続き厳しくはあるが、決して希望が途絶えたわけではない。
雷電が「メークドラマ」を成し遂げたとき、Mリーグの歴史に残る記録になることは間違い無く、数々の奇跡を起こしてきた黒沢なら雷電をメークドラマへと導く存在になり得ることを再認識した試合だった。
https://twitter.com/kurosawasaki/status/1485975264391622658?s=20
日本プロ麻雀連盟所属プロ。株式会社AllRuns代表取締役社長。業界を様々なやり方で盛り上げていくために日々奮闘中。Mリーグ観戦記ライター2年目。常に前のめりな執筆を心がけています(怒られない範囲で)。Twitterをフォローしてもらえると励みになります。
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