「当たり前のことを当たり前にこなす」卓上のヒットマン松本のベストバランスとは【Mリーグ2021観戦記1/28】担当記者:渡邉浩史郎

聴牌を取ってダマ。供託も二本落ちており拾いたいところだが、赤なしドラなし愚形でトップ目から瑠美のタンヤオ仕掛けに立ち向かうのは無謀といったところだろうか。

ピンズも連続系とはいえ、親の瑠美が【7ピン】をポンしている。その中で瑠美に対して【3マン】【5マン】と切って聴牌を外すのも味が悪いところだろう。

切れないドラの【3ソウ】を引いたので、今通った【3マン】を切って聴牌外し。

しかし【2ソウ】【5ソウ】【8ソウ】の三面張になれば当然……

リーチだ! ここで親の現物だからとダマにするのはあまりに弱い。点棒を稼げる手で稼げない、いわゆる「機会損失」を嫌った形のリーチだ。

この局のアガリは瑠美となったが、ここでも松本のベストバランスが存分に発揮された形だ。

【東3局4本場】でもベストバランスは止まらない。この形から【2マン】を切ったところ。

【2マン】を残しておけば【2マン】そのものを引いた聴牌だけでなく【5マン】【8マン】引きでもカン【3マン】の聴牌が取れる。だけどこの巡目、この形で果たしてその愚形ドラなし聴牌が嬉しいかということまで含めて安牌【南】残しとした。

見事残した【南】を重ねての三面張リーチ。これも当たり前のようでなかなかに難しい最終形だ。

見事茅森からアガり切っての加点に成功。

【南2局】

瑠美のハネマンのアガリで大きく突き放されての南場の親番。ここで再び差を詰めたい松本。

最初に聴牌を入れたのはラス目の茅森。【中】【發】をポンしてホンイツの聴牌。【西】単騎のマンガンだ。これが山に二枚。

ここにさらなる勝負手で追いついたのが寿人。メンタンピン赤ドラ、高目ツモならドラとイーペーコーがついての倍満だ。これがなんと山に高目が3枚、安目が2枚。

そして三番手となったのが親の松本。

イーペーコー・ドラの聴牌。リーチをかけたいところだが、【5ソウ】【8ソウ】は寿人の現物。ソウズのホンイツの茅森がいるため、おいそれと出る待ちではないが……

松本の選択は黙テン。ここは茅森からの出アガリもあり得るということだろう。

茅森はきつい【3ピン】をノータイムで押す。これでノーテンということはほとんどないだろう。

そして松本が持ってきたのは【5マン】。ここで松本が今季一番の長考に入る。

【5マン】は寿人のリーチに通っていない両無筋。寿人のリーチの通っていない両面の残り筋は【5ピン】【8ピン】【5ピン】【6ピン】【9ピン】【3ソウ】【6ソウ】【6ソウ】【9ソウ】【2マン】【5マン】【5マン】【8マン】の6筋のみ。愚形率を考えてもなおなかなか放銃率が高そうな【5マン】だ。

かといって現物の【5ソウ】【8ソウ】は茅森に対して切れない。ここに8000〜12000放銃すれば3着だけでなくラスまで見える。

【5ソウ】【8ソウ】自体もそこまでよく見えず、この手のアガリ率がどれだけあるのかも測りかねる状況。

苦悶の表情を浮かべる中、松本が出した結論は……

【5マン】切りダマだ!

ギリギリ【5マン】は押すが、この後の怪しいところは全部止める位の勢いだろう。そのためのダマテン。この【5ソウ】【8ソウ】待ちは山に一枚しかなかったが……

松本の覚悟の押しがラス牌を手繰り寄せる!!

3着4着の勝負手を潰す、点棒以上に大きな価値のある2000オールだ!!

【南3局】

茅森のマンガンツモで迎えたラス前。

松本はこの【4ピン】をツモ切り。5ブロックなら【1マン】【3マン】切りだがここは6ブロック進行。

【7マン】を引いて、いよいよ5ブロックに受けるかと思われたが……

ここでも打【8マン】で6ブロック。345の三色を残すことで赤5を引いた時の仕掛けてマンガンの目も残した形だ。

そしていよいよターツ選択の時。

松本の選択は打【3ピン】。単純に【5ピン】の受け入れが残るだけでなく、河を見るとマンズが安くなりそうな見た目をしているのでそこを残した形だ。

そこに飛んできたのはラス目茅森の高め一気通貫リーチ。第二打の【7ピン】が効いている勝負手だ。

現物【5マン】を寿人からチーして中筋の打【4ピン】。先制リーチが入ったこともあり、ここはスピードを合わせていく。

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