本田の先ほどの手牌
を払いたくなる気持ちはわかるが10巡目ということを考えると、アガリから遠ざかり過ぎに感じる。
を切るか(ツモの裏目はタンヤオになる)思い切ってをぶっ放す方がマシでは? と感じるのは観戦者の乱暴な意見だろうか。
混迷の下位争い
消化試合となったオーラス。
いや、下位チームにとっては消化試合ではなく、大事な一局だ。
村上はここからを切った。
変化の多いのは打だが、なぜだろう。
土田「タテ形のツモを感じて、チートイツの含みを残しましたね」
コバミサ「…」
いや、違う。
を残しておくことで、タンヤオで仕掛けることを考えたのだと思う。
たとえば2度受けのをチーしての打。
残したとのポン材が優秀で、アガリにぐっと近づいている。
次にのポン→打
これもポンのおかげでが出やすくていい。
ポンやピンズ部分から仕掛けると苦しい形が残るが、この2つのケースなら仕掛ける価値はある。
もう一度村上の手牌と点棒状況を見てもらいたい。
普段なら仕掛けることなど考えず、を切って変化しやすいを残したはずだ。
満貫をアガれば2着に浮上する。
しかしラスと2300点差と近く、ましてやそのラス目がライバルのフェニックスとあらばここは3着確保に走るのが賢明。
こうして
村上は3着を死守した。
魚谷から逆転のリーチが入っていたので、紙一重と言ったところだ。
勝負師の精神
「最後は絶対俺が勝つ」
松ヶ瀬を取材した時に強く感じたのは、溢れる自信だった。
いろんな道で成功を収めてきた松ヶ瀬だが、特に学生時代北海道代表になるまで活躍した柔道において、勝負事の間合いだったり、気持ちだったりの面において多くを学び、絶対的な自信を持っているという。
運の要素が大きい麻雀のおいてもその経験は活かされている。
攻めるところは攻め、守るところはきっちり守る。
大きなミスは絶対にしない。
冒頭に
複数の人間が戦う以上どうしても気持ちの強さや揺らぎなどが出てくる。
と述べたが、松ヶ瀬に関しては気持ちの面で負けることはなく、相手としてとてもやりづらく、味方としてこれほど安定感のある打ち手はないだろう。
チームで最多の20戦出場。
今後も松ヶ瀬隆弥は風林火山の原動力として大車輪の活躍を見せていく。
麻雀ブロガー。フリー雀荘メンバー、麻雀プロを経て、ネット麻雀天鳳の人気プレーヤーに。著書に「ゼロ秒思考の麻雀」。現在「近代麻雀」で戦術特集記事を連載中。note「ZEROが麻雀人生をかけて取り組む定期マガジン」、YouTubeチャンネル「ZERO麻雀ch」