といった多井の意志だったのかもしれない。
東2局
「ツモォ! 400700!」
周りがビクッとするくらいの大きな声を会場に轟かせた村上。
なんてことない安手だが、村上はこのアガリが「今日はいけるかもしれない」と思えるほどに手応えがあったと語る。
遡ること3巡目
村上はここからを切った。
この時点で魚谷と多井から仕掛けが入っており、ドラのない村上はほぼオリだなと思って一応筋のを切ったという。
それがあれよあれよのうちにテンパイして、ツモアガリ。
実際に魚谷と多井にテンパイが入っていたので、見た目以上に価値のあるアガリだったのかもしれない。
東3局。
本当にあの400700が逆襲へのスイッチだったのか、村上にチャンス手が入る。
をポンしてタンヤオドラ2・赤のマンガンをテンパイ。待ちだ。
しかしMリーグは仕掛けてからが長い。
直後に
寿人からアガリ牌のが打たれそうになる。
村上(対面)の捨て牌を見ても、まだテンパイしているようには見えない。
──しかし、寿人は
身をよじるようにを切った。
は危険というだけではなく、ドラがなので自身の手の価値を高めるためにも必要との判断だろう。
Mリーグ2020 MVP(+494.1) 佐々木寿人
「麻雀攻めダルマ」の異名はシャミじゃないかというクレームが飛んできそうなほど鉄壁の守りを見せる。
村上の仕掛けだけではなく、多井からもリーチが入っている。
とはいえ、寿人は親だ。ここで勝負しなくて、何が攻めダルマだ!
寿人は静かにを抜いた。
親だろうとなんだろうと、無理なものは無理。
行きたい気持ちを抑え、劣勢を受け入れたのだ。
いつもここからが遠いんだよな。
これまでも、何度も高打点の手はきてくれたのだけど、あと1牌が届かない。
寿人に抑え込まれ、多井に反撃され、村上は今季のデジャブーのような感覚になったのかもしれない。
しかし、やはりこの日は何かが違った。
自らの手でアガリ牌をたぐり寄せ、20004000の先制に成功したのだ。
東4局、勢いに乗った村上が溢れかえる中張牌を捉え
中押しを目指し、待ちのリーチと畳み掛ける。
親の多井の対応が面白い。まずはリーチを受ける直前
多井はここからなんとをツモ切った。
メリハリが効いてるとか、そういうレベルじゃない。
ドラのを重ねるか678の三色になるか、いずれか高打点になったら攻めようという構えだが、それにしたって多井は親だ。
思い切ってドラを切るか、好形を目指してを切るのが普通だろう。
少なくとも多井以外の31人のMリーガーはピンズの4連形には手をかけない。
さきほどの切りといい、ある意味勝ちたい気持ちの裏返しなのかもしれない。
残り20試合を切ったところでABEMASは+180.9pt。
ここで無理して300~400ptを狙うのはリスクばかりが大きい。現状維持でもいいので確実にレギュラーシーズンを突破する。
本気で優勝を目指しているからこそ、ここでは一旦頭を下げるのだ。
その多井、村上からリーチが入った一発目に