そして一粒の雪は溶けずに残った 村上淳、復活の宴【Mリーグ2021観戦記2／8】担当記者：ZERO

をツモって戦える形になった。

を一発でぶっ放すもよし、のトイツ出回るもよし、の場面で多井は

唯一の現物であるを抜いた。

致命傷を避ける。

レギュレーションに打ち筋をアジャストさせるという意味で、多井ほど徹底している打ち手はいない。

さらに数巡後、多井の目が見開いた。

安全牌が尽きたのだ。

ドラは切らないとして、一度通せば→→と３巡凌げるか、形を維持しつつ端っこであるを切るのが有力… しかしは村上の当たり牌だ。

かかか… と場を見つめる多井。

さぁツモりまっせとばかりに指を鳴らす村上。

多井が切ったのは

そのいずれでもなく、だった。

切りリーチになし、という理論はあるものの

　ツモ

など、いくらでも例外が浮かぶほどの薄弱な理論だ。

ただ挙げた例外のうち、上２つは多井がをトイツにしているので可能性としては低く、３つ目の暗刻のケースも薄い。

か細い理だが、何もないよりはマシ。

わずかな放銃率の差をついて、多井は放銃回避した。

終盤…

村上が高目のをツモって20004000。中押しに成功した。

南１局、親を持ってきた村上は1000オールをツモってさらに加点。

そして迎えた１本場。

先制・中押しときてダメ押しを狙う村上に大物手が入った。

（をポンしている）

を切って待ちに受けるか、を切ってトイトイに受けるかという場面。

打点とアガリやすさの兼ね合いとなるが、局収支（あらゆるケースを平均したもの）では打が高くなることがわかっている。

ツモっての8000オールが平均を押し上げているのだ。

それをふまえた上で村上は

を切った。

8000オールをアガリたいのはもちろんだが、ある程度のトップ目である以上、ここは4000オールでも十分なダメ押しになる。ならばアガリ率の高い方に受けるのが普通といえば普通。

しかし、を暗カンした後にツモってきたのは…

だった！

こうして流局。結果的にアガリを逃し、少しだけ不安を抱えたまま迎えた2本場。

村上はここからを切った。

が３枚打たれているとはいえ、６ブロックになる窮屈な構えだ。

牌図で見てみよう。

をポンしている下家の魚谷の仕掛けを意識したのだと思う。

魚谷の河はマンズが１枚もなく、そこへを切っていくのは分が悪い。

ここはカンをツモってメンタンピンにするか、もしくは…

ツモならぶつけても勝負になるのではないか！

こうして

4000オール！

村上フェスティバルの幕開けだ。

焦点の一局

次の３本場が本日の焦点の一局である。