そして一粒の雪は溶けずに残った 村上淳、復活の宴【Mリーグ2021観戦記2/8】担当記者:ZERO

そして一粒の雪は

溶けずに残った

村上淳、復活の宴

文・ZERO【火曜担当ライター】2022年2月8日

【第1試合】

東家:村上淳赤坂ドリブンズ
南家:魚谷侑未セガサミーフェニックス
西家:佐々木寿人KONAMI麻雀格闘倶楽部
北家:多井隆晴渋谷ABEMAS

朝、窓を開けると雪が降っていた。

降り始めたばかりなのか、まだ積もってはいない。

遙か上空からやってきた白い雪粒は、アスファルトに打ち付けられ、そして消えていく。

延々と雪は降ってくるが、アスファルトを黒く濡らすだけ。

降っては溶け、降っては溶け。

しかしこのまま降り続ければ必ずやってくるはずだ。

溶けずに残る、最初の一粒が。

その一粒は後続の仲間たちを一手に支え続けるだろう。

世界が眩しいほどの白に包まれた時、私はいつも思うのだ。

最初の一粒はどれほど強かったのか、と。

思えば、今季の村上淳も窓の外で降りしきる雪のようだ。

打っては溶け、打っては溶け。

個人のマイナスは400を超え、最下位を独走している。

「麻雀で負った傷は麻雀でしか癒せない」

たくさんの応援や激励が届くも、結局は自身が卓上で勝つことでしか応えられないのだ。

村上は渇望していた。

後に白星を重ねていくための最初の力強い一粒を。

しかし村上の前に、歴代MVPプレイヤーたちが立ちはだかる。

Mリーグ2018 MVP(+476.3) 多井隆晴

東1局、多井の手牌↓

多井はここから【發】を切った。

これは三元役を見切り無駄なく手を進めていく… という意味の他に、もう1つ明確な意図がある。

それは…

三元牌を1つポンした時のもう1つの三元牌の鳴きやすさ、である。

【發】を早々と切っている人が【白】トイツとは考えにくいから)

ある意味常套手段ではあるのだが、実際のところ出やすさに

大きく関わってくるのだ!

こうして多井は狙い通り【白】もポンして打【7ピン】のカン【4ピン】待ちに受けると、次に

【2ピン】をツモってきた。

【2ピン】の8000と打【赤5ピン】の3900、打点も倍違うがアガリ率も大きく違う。

どっちもある場面で多井は

神妙な面持ちで

【赤5ピン】を切った。

これは基本フォームなのか、それともレギュラーシーズン用のチューニングなのか。

すぐに【1ピン】をツモって10002000。

寿人からリーチが入っていたので、選択としては大正解といったところか。

こうして村上の親はあっけなく落ちた。

もしかしたら… だが、あの打【發】も、そしてリャンメン受けも

「村上、そしてドリブンズは簡単に浮上させねぇ」

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