河へと視線を注ぐ本田。
心細い様子で佇む。残り筋は5本。
本田は、
打とした。
石橋がを切ったあと、本田最後のツモは、
無情にもであった。
息を吐く本田。
石橋のテンパイ形、そして本田のテンパイ形が開けられていく。
私は本田のデビュー戦の観戦記で、本田の打ち筋に関して、「次々と通っていない牌を切り飛ばしていく」「悠々とした」「自分の麻雀を」Mリーグでも打っている、と書いた。
きっとこの1年、辛い思いも悔しい思いもたくさん味わったことだろう。デビューの年にチームが大不振。理不尽な放銃。めくり合いでの敗北。どういう表情を見せていいのか、どういう麻雀を打っていいのか、気持ちが定まらなかった面もあったように感じる。
でも、私は思うのだ。
本田よ。もっと押してもいいじゃないか。
もちろん手が悪かったのもあるが、最近は少し麻雀が消極的になっているように感じていた。
そして、この手である。勝負手でを放銃しても、雷電ファンはきっと文句を言わない。むしろ「よく戦った!」とたたえてくれるはずだ、とも思った。
残りの局は、次以降の試合では、そして来シーズンからは、デビュー戦で見せたようなガンガン踏みこんでいく本田の麻雀が見たい、そう感じた一局だった。
細かい考察も加えておく。残り筋5本で、僅かながらの愚形率も考慮するとの放銃率は20%前後。相手が親リーチでも、本ドラが全て見えているこの状況。は確かに通っていない牌だ。そして山の残り枚数は少ない。本田が止めた理由も分かる。しかし、8000やハイテイでの12000でのアガリ、さらにはテンパイ料の可能性も考えると、ドラ4のリャンメンテンパイでは押しが有利となるだろう。
次の局、
既視感を覚えるような、石橋のリーチと本田のテンパイ。本田が切らなければいけないのは、全く通っていない。
少し思案したのち、本田は、
リーチをした!
「いけ! いけ! 本田!!」
とモニターの前で声を上げた方も多いのではないだろうか。
先ほどと同じ流局。だが、同じ流局ではない。
今局、本田は攻めた。
その攻めの姿勢が、
東4局。煮つまり切った場面での、
ドラ切りリーチへ、そして、
満貫ツモへとつながっていく。
さらに、
再三にわたる石橋からのリーチに、ドラのシャンポンで斬り込んだ南1局。
本田は、
鋭い眼光で、
ドラをツモりあげた!
このハネマンのアガリが決定打となり、本田は1戦目、トップを獲得した。
半荘の後半で見せた、思い切りのいい攻めが本田の武器。これからさらに磨きをかけて、雷電ユニバースを、Mリーグファンを沸かせて欲しい。
また、その攻撃を活かすためには、守備面も重要だ。
南3局、本田はここから手詰まらないようにを切ったが、下にいる親のタンヤオ濃厚の仕掛けに、4枚見えのドラ表示牌は打たない方がいいだろう。を打ち出した上家の白鳥が押しているので、自身がこの手ならここは白鳥に任せてきっちりと絞り切る方がトップには近づくと考える。ここはソウズを並べるのがいいように思う。
ただ、繰り返すが、本田はMリーグ1年目。可能性は無限に広がっている。しかも先に述べたように、今年は何もかもが非常に厳しい1年だった。