できることは全部やる 敗北のなかで、園田賢が見せたドリブンズ・プライド【Mリーグ2021観戦記3/10】担当記者:東川亮

松本がすぐに【2ピン】をツモ切る。勝又の2000点出アガリだ。

だが、勝又はこの【2ピン】を見逃した。ダマテンで2000点をアガっても、トップやチームの順位浮上は狙いにくいという考え。

そしてツモ切りリーチで、打点をつり上げにいく。ドラが鳴かれなかったことで、リスクが若干下がったことも大きい。ちなみに、【5ピン】をツモったときは、フリテン3メンチャンでリーチをかけ、リーチツモタンヤオピンフ三色の3000-6000を狙いにいくことも視野に入れていたそうだ。

この【2ピン】を、園田がつかんでしまう。もちろん、園田は勝又のツモ切りリーチを見ている。【2ピン】が当たるとしたら役なしからのリーチが想定されそうだが、果たして状況的にそれをする局面なのか。また、ここで2枚切れの【南】などを切ると、他からの攻撃に守備力を担保できなくなる。

それゆえに、園田は【2ピン】を切った。

開かれた手と捨て牌を見比べる園田の表情は、今までに見たことがないほど険しかった。レギュラーシーズン終盤戦、ドリブンズは多くのチームからマークされ、厳しい選択を突きつけられていた。この3900放銃はなんだか、今シーズンのドリブンズを象徴するかのようなシーンにすら思えた。

それでも、園田はあがく。たとえ負けたとしても、せめて最後はチームのために、ファンのためにトップを持ち帰りたい。役なし赤1で追っかけリーチ、アガれば先制リーチの魚谷が出したリーチ棒を加え、勝又をかわして逆転トップ。

やれることはすべてやった。しかしなお、届かなかった。麻雀とは、そういうゲームだ。

試合後、園田は敗北をファンに詫びるとともに、翌シーズン以降の復権を誓った。ドリブンズファンのみなさんにとっては、非常に難しい気持ちになることが多かったシーズンだったと思う。ただ、この日の園田に代表されるように、選手たちは精いっぱい戦った。そんな選手たちを誇りに思い、同じ悔しさを胸に、来シーズンの開幕をお待ちいただきたい。それが、チームと共に歩むということではないだろうか。

赤坂ドリブンズは、Mリーグ開幕初年度で優勝を果たした。だが、数々の敗北を乗り越えて再びシャーレを手にしたならば、きっと初優勝とは比べものにならないほどの歓喜、感動が味わえるはずだ。

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