タンヤオドラドラテンパイ。この手をヤミテンに構える。
2着目の荒からの直撃はもちろんの事、3着目の森山からの直撃でも7700点の直撃が取れれば、2着抜けの可能性が急激に高くなると判断したのヤミテンだろう。
鎌の刃をいとも簡単にくくり抜けたのは精密機械の安全装置である。
前巡に1枚切れの単騎で仮テンを組んでいた荒がツモイーペーコーで700/1200のツモアガり。点数以上に伊藤の7700点のヤミテンを搔い潜った事に大きな価値がある。
南3局
ここまで静かに耐えていた森山にご褒美かの如くのツモが押し寄せる。
この配牌が
6巡の間すべてピンズを引き
10巡目にはでテンパイ。まさに手役アーティストを象徴するかのような華麗なメンチンだ。
そのまま次巡にあっさりとをツモ。この3000/6000で森山」が2番手を大きくリードする。
一見手なりのメンチンのように見えるが、メンゼン至上主義の森山ならではの分岐点があった。
6巡目に上家の沢崎が切ったをスルーしている。
この形からならをチーして一旦ホンイツの1シャンテン、実質チンイツの2シャンテンに取る打ち手も多いのではないか。
この後のインタビューでの森山は語っているが、チーしてしまうとピンズが3~6の部分が分断してしまってあまり良くない形になってしまうので、それを嫌ってをチーしなかったという。(が出た時はのカンチャンでチーする予定だったとの事)
幾多の放送対局でメンチンをアガッてきた手役アーティストの形に強い思考が垣間見えた、お手本にしたい一局であった。
森山が1鳴きのポンテンをあっさりツモアガりゲームセット。
この結果
1位通過 沢崎誠
2位通過 森山茂和
2名とも異名通りの必殺技を繰り出し決勝卓へ駒を進めた。
衰えの知らない熟練の技を存分に発揮したレジェンドは、熊退治へ歩みを1つ進める。
最高位戦日本プロ麻雀協会46期前期。九州在住のプロ雀士。
麻雀と愛猫(ピンフ)を愛してやまない。嫁の小言にはベタオリ気味。
著書:最高位戦コラムFACES
Twitter:@aktk0207