ハネマンツモで逆転するので、チートイドラドラをリーチしてツモれば条件を満たす。
あのとき、テンパイをとられていたら19000点差となっており、ハネツモは届かなかった。
首の皮つないだ、この場面。
タンキ選択は絶対間違えられない。
場況的にはが良さそうに見える。
ソウズの真ん中はバンバン切られており、は待ち頃。
しかし、下家の園田の仕掛けがポン打だ。
が先に切ってあること、ドラが3枚見えていること、園田は満貫ツモでトップであることから、ほぼトイトイであることが読める。
最後まで引っ張ったドラは、チートイの待ちとして残していた可能性も高いが、もしかしたらを固めているのではないか?
そう考えた石川はを切って1枚切れのタンキに受けた。
この時、園田は
を持っていたのだ!
はロンだが出アガりでは届かないため、見逃し。
「すずめが神を喰う時がきたか!」
実況の日吉が絶叫する。
理詰めで我慢し
理詰めでハイテイを送り込み
理詰めで選んだこの単騎待ち
理詰めで選んだあと、人は祈ることしかできない。
理詰めの先に、我々は何を見たのか。
石川遼がMリーガー2人をまとめてなぎ倒した。
表情は崩さないが、感極まっているようにも見える。
麻雀は理詰めのゲームだが、決着は理の届かない部分にある。
その理と何かが絶妙に混じり合っているからこそ、麻雀というゲームは今日まで愛されてきたと言えるのではないだろうか。
最後に見せた石川の笑顔に、そんなことを思うのだった。
麻雀ブロガー。フリー雀荘メンバー、麻雀プロを経て、ネット麻雀天鳳の人気プレーヤーに。著書に「ゼロ秒思考の麻雀」。現在「近代麻雀」で戦術特集記事を連載中。note「ZEROが麻雀人生をかけて取り組む定期マガジン」、YouTubeチャンネル「ZERO麻雀ch」