一度を切って、678三色の目を残すのもあるが……。
選んだのは。
ペンを払ってタンヤオのテンパイを狙う。
渋川は勝負を預けた。
下手に手を組んで小林に条件クリアのテンパイを入れさせることを嫌った。
あとは、鈴木と小林が自力で条件をクリアできるかどうか。
この手牌から、鈴木はを選んだ。
ペンは払ったが、の縦重なりは最後まで逃さない。
引きなんかも考えただろうか。
なによりも、ここはタンヤオを確定させたい。
条件クリアの道筋は逃さない。
最強戦の申し子が、一筋の希望にしがみつく。
ラス牌だったを引いた。
あまりにも嬉しいツモ。これでタンヤオとドラが確定。
あとはどこに雀頭を、求めるか。
小林が、イーシャンテンにたどり着いた。
小林にも意地がある。渋川からこれ以上鳴けないことなんて最初からわかっていたこと。
手繰り寄せる。勝利への道筋を。
鈴木に、条件をクリアするテンパイが入った……!
待ち取り選択。か? か?
はっきりと、鈴木が息を呑むのがわかった。
絶対に間違えられない。
あの時目前で逃した最強位というタイトル。
それを掴むために今日ここにやってきた。
選んだのは。
――ある。3枚ある。鈴木優の選択は間違っていなかった。
あとは最強戦の申し子たる所以を示すのみ。
やれることはやった。
あとは、ツモらせて――
佐々木から、まるで通っていないが飛び出してきた。
鈴木はきっとこの瞬間背筋に冷たいものが伝っただろう。
佐々木は立場上跳満を打っても通過だ。
とはいえ、なにもないところから意味もなく押してくるわけがない。
十中八九、テンパイ。
そしてそれは当たっている。
佐々木はの、ピンフテンパイ。
一人旅には、させてくれない。
渋川も感じ取った。いや感じ取れないはずがない。佐々木のテンパイ。
必死で探す。小林鈴木に通り、佐々木に差し込める牌を。
だが、無い。
必死に考え抜いても、差し込める牌が無い。
ピンズを切って小林にテンパイを入れてしまったら本末転倒なのだ。
ここは、安全牌を切る。祈る。
渋川だってやれることはやりきった。
あとは、運命を託す他ない。
時間が無い。
できればこの1巡。
ツモらせてくれ! そんな鈴木の叫びが、聞こえてくるようだった。
もう一度、最強位に手が届く場所へ!