天国と地獄のオーラス　全員集合した南4局を制したのは…【Mリーグ2022-23観戦記10／17】担当記者：江嵜晋之介

その滝沢に対して松ヶ瀬がドラのを勝負してきている。
親のテンパイに対しても勝負できる手が入っていると読んでいいだろう。

となるとここは…。

直前に通ったを合わせ打ち！
結果的に親満への放銃を回避したこととなった。
仮にここで滝沢へ12,000点の放銃をしてしまっていたら、オーラスは全員集合になっていなかっただろうし、何より滝沢はラス目で
オーラスを迎えることにはなっていなかっただろう。

この局、結果は追いついた松ヶ瀬がリーチをかけ滝沢がで放銃。

少し進んで南1局、ここでも面白い選択があった。
６巡目、親番瑞原が切ったを西家の日向がポン。

この鳴きについて、対局終了後にチームの公式SNSにて「ポンしたくなかったのになぜかポンしてしまった」と話していた。

渋谷ABEMAS公式Twitter

一見ポンもあるように見えるが、ポンしなくとも七対子のリャンシャンテンであり、真ん中の牌も多いのでを2枚切ってのタンヤオ移行も狙えそうだ。
どちらも選択肢としてはあるが、ポンは門前守備型の日向にとってフォームに則った一打ではなかったのかもしれない。

そんな日向に悲劇が襲う。
２巡後、トップ目松ヶ瀬がリーチ。

そして同巡、親の瑞原が追いかけリーチ！

さらに２巡後の日向の手牌。共通安牌がなく完全に手詰まった。

日向は長考の末、に手をかけた。

自身からが4枚・が3枚見えているため、のカンチャンカンとシャンポンが否定されており両面しか当たるパターンがない。さらに今後の展開次第では2枚持っているも通し易くなる可能性がある。

しかしは瑞原の当たり牌だった。

リーチドラ1は3,900点のアガり。
大きな放銃とはならなかったものの、フォーム通りに進めず放銃に回った日向にとっては痛い一局となってしまったか。

実はこのリーチ対決、瑞原のは山に2枚しかいなかったのに対して、松ヶ瀬のは7枚と圧倒的に有利な状況だった。
しかも松ヶ瀬の手は満貫が確定している大物手で、仮に日向が放銃していなかったとするとトップ目の松ヶ瀬が8,000点以上の加点をしていた可能性が大いにあったため、日向の選択次第では展開が大いに変わっていたかもしれない。

そして冒頭の「全員集合」に戻る。

ほんの1つの選択が天国行きか地獄行きかを決めてしまうような息の詰まるオーラス、制したのは…

瑞原だった！
500-1,000ツモ条件の瑞原は、ピンズの染め手がくっきり見える好手牌を与えられる。
場風の南をポンして待ちのテンパイを入れ、すぐにでの出アガリ。見事条件をクリアし混戦となった第一試合を制した。

瑞原に放銃したのは滝沢。元々ラス目だったので順位点の損失はなかったものの、手痛い放銃により今シーズンチーム初のラスとなった。

誰が勝つか最後までわからない試合だったが、蓋を開けてみると下位2チームが上位2チームに土をつけ、全体スコアの上下がやや縮まる結果となっている。

特に第１週・第２週と苦しい展開が続いたパイレーツは本日初トップを獲得。まだトップがない新メンバー2人が瑞原が作った流れに乗ることができるのか次の出場に是非とも注目したい。