ここで先にリーチの発声は親の魚谷選手。
待ちはカンで、リーチをしないと役がない。
ドラも赤も1枚ずつあり、アガればトップをかなり手中のものとすることが出来る。
勝負を決めに来たリーチ。
運命の歯車はここから急加速で動き出す。
同巡、待望のを引き入れた滝沢が追い付き、リーチ。
を引いてのテンパイは三色を消すことなく、をツモるとトップになる。
手牌から構想していた6ハンを一枚で全てクリアするとこまでこぎつけた。
実際リーチ時点で山にはは3枚。十分に残っている。
ツモれば4着からトップ。
しかし一方、タンヤオも三色も消えてしまうも山に3枚残っている。
『枚数十分あります! ただ、安目のもいます!』
『どうするんですか? アガるんですか?』
『アガるんじゃないかなぁ、ただ見逃すもあります!』とこの時の実況解説での会話。
実際が出たらどうするのかは滝沢が判断した時にすべての理由を解説しようと決めていたが、アガらない選択をとりそうだなぁとは思っていた。
一発ツモだー!!
誰しもがそう思った瞬間だろう。
しかし滝沢はこの牌山からの挑戦状に真っ向から立ち向かう選択を取る
ツモらなかったー!!!
この時、筆者も叫んだのをよく覚えてる。
一体滝沢は何を考えて一発ツモだったをツモ切ったのか?
その理由を聞けばあの瞬間の選択がどれぐらい難しいことかが分かるだろう。
→まず、一発でをツモった場合。
満貫ツモだと4着のままだったのが、魚谷からリーチ棒が出ている為、裏1は3着、裏裏はトップになるし、
ツモ切れば今度は出アガリも出来なくなり、親リーチに自分はロンアガリできない無防備状態となる。
裏が乗らなくて着順が上らなかったら4着のままだが、6.2ポイントは+になる。
ここまで聞くとアガるんじゃない?
となる方もいるだろう。
→では、をツモ切った場合。
本来、滝沢も自身が3着目で同じ局面だとしたら、アガるはずである。
しかし、上記の通り裏ドラが乗らなければ4着のまま。
裏が乗らなかった場合のポイントは14700点に6200点足されて20900点。
−39.1ポイントで終了。
裏が1枚のった場合は14700点に9000点足されて23700点、3着。
−16.3ポイントで終了。
では、をツモった場合は?
27700点になりトップ。
+47.7ポイントで終了。
この最後の選択で3つも違うポイントで終了する結末があるのだ。
簡単に言うと4着からトップになると順位点だけで−30から+50
80ポイント、つまり80000点としよう
加えて跳満と魚谷のリーチ棒も足したら93000点のアガリになる。
親のダブル役満とほぼ変わらないアガリがをツモ切ってをツモったらこれだけの差があるって分かったら、ツモ切った先にある未来が最高の結果であることが分かるだろう。
さらに滝沢は親の魚谷のリーチが入っていることも判断材料に入れている。
えっ?!
普通親は怖いじゃん!
そうなんだ‥ そうなんだが、
理由の一つ目は
河が強い(ヒントが少ない)し、選択も少なかったから、とりあえずまっすぐリーチを打ってきている→手牌のレンジが広い。
そしてもう一つは、仮に放銃や流局になった時に、『もう1局ある』ということ。
滝沢は4着目。
今これから失うポイントは素点だけであり、順位点がこれ以上マイナスすることはないのだ。
以上のことをあの瞬時に見極め、本人はトップに固執しすぎたと言っていたが、それだけではない。
こんなにも緻密に考えて自分の中の最適を選び、このを一発ツモ切りという珍しい選択となったのだ。