河野直也が選ぶ『Mリーガー究極の決断』〜最高と最良と最悪。最終着地点への一打をぶっ放せ!〜松ヶ瀬隆弥編〜

この魚谷の仕掛けはトップで終わりたい内川と2着で終わりたい松ヶ瀬にとっては
“親リーチが来なくなった!”
というポジティブな考えもあるが、1番は魚谷がノーテンor魚谷以外の自分を捲らないアガリが発生するのが嬉しい為、自分のアガリが近いと思えない時は

『もうテンパイしてるかもしれない。ならば放銃しないようにしよう』

と甘えないことも重要になってくる。

松ヶ瀬がなぜ繊細と言われているか。
こういった局面での判断を冷静に見極めることが非常に得意な選手だからなのだ。

ここから松ヶ瀬はたろうが今切って魚谷の手が変わっていないのを見て、8pを選択。

この時、解説席でたろうにハネマンが打てない為、たろうからリーチが来た時に魚谷の現物の【6マン】は打てないので先処理しないのかー。とは
思っていたが、【6マン】【7マン】【8マン】とメンツにもなっているし、まだ自分のアガリもなくはないもんなーぐらいでしか見てなかった。

松ヶ瀬からはもう魚谷に危ない牌は何にも出ないなぁ。
この時解説しながらそう思っていたのを覚えている。

8巡目にたろうがピンフドラ1の【3マン】【6マン】待ちテンパイ。
役もあり、リーチをせずともアガれば3着。
しかも【6マン】は魚谷の現物。
たろうも内川、松ヶ瀬がこの局魚谷に厳しく打つことは点棒状況で分かる為、現物の【6マン】は持ってきたら切ってくれるだろうと。
しかし、すでに【6マン】は3枚場に切れており、【3マン】も山には1枚だけ。
長引くか‥

たろうのテンパイに呼応するように魚谷もテンパイ。
待ちは【2マン】【5マン】
山には4枚も残っており、テンパイしているたろうからも打たれる牌だろう。
内川、松ヶ瀬からは、魚谷を警戒している為簡単に出る牌ではないが、【6マン】は通っているが、【3マン】は魚谷にロンと言われてしまうかもしれない分、打たれづらくなっており魚谷が有利な状況。

ただ、最後の【6マン】は松ヶ瀬の手の中に‥

この時解説をしている筆者は【6マン】魚谷さんの現物だし、打つかも!』
と興奮しながら言っていたが、まずたろうがテンパイしていることを知っているのは神目線だし、絶対にハネマンがないとは言い切れない状況なのも加味して当然の1p切り。

繊細だからこそ、ドラが2枚切られたからといって甘えないのが松ヶ瀬である。
最悪の結果だけは引けない。

12巡目
たろうがドラの【1マン】をツモ切り。
いらない牌だから当然切るのだが、この牌がもたらす効果は絶大になることを後に我々は知ることになる。

前巡、【南】のトイツに手をかけていた松ヶ瀬の手が止まる。
ん?
【南】じゃないのか?
と思った方は多かったんじゃないだろうか。

ここで松ヶ瀬が考えたのはそう。
たろうのドラのツモ切りであった。
松ヶ瀬はたろうにハネマン以上を放銃したら3着に落ちてしまう。
だから、もしたろうがテンパイしていたらというのも頭に入れ、魚谷にもたろうにも通る牌を切り続けていた。

しかし、このドラの【1マン】ツモ切りで、ヤミテンでハネマンになっているケースが減ったかつ、巡目も残りわずか。
流局して魚谷がテンパイならばまたもう1局、最高の結果が見えづらいなかで打つのか。
となっていた。

『ドラも3枚切ってる。これでハネマンクラスがヤミテンで入ってるなんてないよな? しかも打とうとしている【6マン】は4枚目だし、トイツ系の手で高い手もないよな?よし。ならば‥』

『たろうさん。俺はこの半荘2着で終わりたい。たろうさんもアガれば3着だろ?お待たせしたね。頼む。安い手でアガってくれよな?』

打ち出したのはもちろん。
魚谷に通っている4枚目の【6マン】だった。

ロン
2000は2300

最悪の結果が限りなくなったなら、一早く最良の結果にする為に動く。
これが松ヶ瀬の強さだ。

強さと凄さをまとめてみた。

まず、テンパイはしていることを理解しているところ。
実際リーチしてるわけでも仕掛けてるわけでもないですからね。

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