まとわりつく黒い霧を振り払え 内川幸太郎、志願の連闘の果てに【Mリーグ2022-23観戦記2/28】担当記者:ZERO / 沖中祐也

その伊達は東4局1本場も3900をアガリ加速。
いつもの展開である。

強くて美しい。
続く南1局。

内川がここから【9ソウ】をポン、そして

【4ピン】
トイトイダッシュだ!(トイトイダッシュ→4トイツしかない状態でトイトイに決め打って仕掛ける戦術)

絵が合い、瞬く間に

3フーロノーテンに。
とても不安な状態に見えるかもしれないが、他家から見たら脅威である。

ソウズのホンイツトイトイに当たりうる牌は簡単に切ることができないのだ。
周りがオリ気味に打つ中、親の近藤が

「チー」
とこの【3マン】に飛びつく。
【3マン】は3枚目とは言え、あの近藤がここから仕掛けるなんて通常ありえない。

タンヤオのみをアガられてはしまったものの、内川は全員にプレッシャーをかけ、近藤の手順を歪ませる積極的な動きだった。

その内川が
「ちょっと消極的だったかもしれませんね」
と唯一悔いたのが南2局である。

近藤21600
内川21300

2人はこの差を強烈に意識していたはずだ。
ボーダーを巡る2チームは相手より上にいることでウマの20ptの差をつけることができる。

その中で内川は

この【發】をスルーした。
ドラの処遇を含め、まだブロックが決まっていないから不安定、という判断だろう。

一方で近藤は

積極的に【中】をポン。5ブロックが決まっている分、内川の手牌より仕掛けやすいとはいえるが、対象的な動きである。

追いかけるように【發】をポンした内川だったが…

テンパイの取れる下家の切った【1マン】をポンしなかった。
「近藤さんの一打目【9マン】からドラの【8マン】がトイツっぽく、出ていく【2マン】が両面だとしたら1/4くらいで当たる牌だから…」
と語るが、この点棒状況なら何点でもあるところ。
自身がドラドラのリャンメン待ちならライバルのアガリを潰す意味でも前に出るべきであろう。
近藤の高打点ブランドにやられてしまったか。

この局は勝又からリーチが入って流局。

南3局の親番では

 

今度こそはとまたしてもトイトイ含みの仕掛けを敢行するも…

恐れていた事態… 近藤の大物手が炸裂する。

順調なスタートだと思ったら伊達が吹き、守ってはやられ、攻めてもやられてしまう。
安定感のあるサクラナイツを持ってしても、Mリーグの呪縛から逃れられないのか。
嫌なムードにそんなことを思ったに違いない。

しかし開けた配牌に内川の目の色が変わった。

イッツーのイーシャンテン!
あらためて点棒状況を見ると、現状4着の内川はハネ満ツモでもトップにはなれない。
内川はこの配牌を見たときに、イッツー完成の【西】タンキになったときに捨て牌がチートイっぽくなってしまってはマズイ…と、一打目に【3ソウ】を切ってから全ての牌をツモ切り。

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