麻雀界の
ガリレオが追った、
ハードラックの
向こう側とは
文・須田良規 【週刊Мリーグレポート】2021年10月25日~29日
10月25日(月)の第2試合、赤坂ドリブンズ村上淳は、箱下9400点の4着で終了する。
自身これでなんと3回連続の箱下、傍から見れば絶不調と言ってよいだろう。
東1局の親番はこのツモり四暗刻テンパイから渋谷ABEMAS松本吉弘への12000放銃。
南1局の親番も非常に巧みに打ちまわしてこのテンパイを入れるが、やはりEX風林火山勝又健志に2000の放銃。
南2局は松本が単騎のチートイツドラドラテンパイから、地獄単騎となるに変えてリーチ。
これを一発で掴んでしまったのも村上だった。
リーチ一発チートイツドラドラの12000。
オーラスはアガリトップの勝又が単騎のリーチ。
終盤これに村上が追いついて、乾坤一擲倍満ツモでの3着浮上を狙ったリーチをかけるも━━、
育て上げた手が水泡に帰す、あまりにも無情な掴みっぷり。
この試合を観戦していた誰もが、『村上、ひどい状態だな』と思ったであろう。
打ち手なら誰しも、一日中全くアガれなかったり、何度も相手の当たり牌を掴んだりして、
どうにもならなかった経験があると思う。
そういうとき人はどう振る舞うのだろうか。
不運を呪い、ふてくされるのか。
平静を装いながら、諦念に達するのか。
私は村上の試合後のインタビューが気になった。
なんと言っても今期はかつてないほどに続いている大敗である。
あれだけの強者が、私たち凡人と同じように、抗いようのない麻雀の困難に見舞われている。
こんな反省も何もないような展開で、どんな言葉が出てくるのだろう━━?
村上が発したのは、意外なものだったのである。
「単騎に一発で打ったときは、を切るべきだった」
松本に放銃したリーチ一発チートイツドラドラである。
松本の捨て牌は、U-NEXT Pirates石橋伸洋がをポンしてトイトイに向かった後、
手出しで、次にを手出ししてすぐにをかぶり、を手出し。
村上はこの時点でがアンコであるから、
メンツとしては使いにくい、妙なだと思ったはずだ。
そして松本がドラのを重ね、手出しの。
を先に切っているのにもかかわらず、ここで。
そして次巡に地獄のに変えて、手出しのリーチである。
これは相当にチートイツを匂わせる捨て牌になっている。
もちろん村上がわかっていないはずがない。
そして一発目に掴んだ。
実際、麻雀を打つ人は、地獄待ちに放銃したら仕方ない、と思う人がほとんどであろう。
なんと言ってもすでに2枚切れ、こちらが持っていてもどうやってもアガれない。
ツイてない、で済ませれば誰だって簡単な話だ。