ず・ひ「リッチだよな!!」
あまりに強烈なリーチ宣言。捨て牌に並んだ赤2枚が、どん兵衛の彩り七味のように刺激的である。
ひよこちゃんが見守る一発目のツモ牌には、
4本のソースが流れていた。
「ツモ!」
裏ドラを見る必要もない、リーチ一発ツモ四麺刻、8000-16000。
どん兵衛のお揚げに負けず劣らず、ふっくらと仕上がりきった。
ずん兵衛村上、まさかこの舞台で役満を決めるとは。
おや、何か聞こえるぞ。
「Mでや・・・」
麻雀星人の地球侵略再び
このまま村上の楽勝かと思われた一戦だったが、やはり「麺飯位決定戦」は一筋縄ではいかなかった。茅森がテンパイ連荘でつなぎまくった日4局4本場、茅森のリーチに対して、テンパイを入れていた村上は7どん1どん()と通っていたことで、4どん()をプッシュ。
これが茅森のカン4どん()待ちに刺さってしまう。手牌はドラ3、12000は13200の直撃に供託3本が加わり、村上と茅森の点差は一気に3万点近く詰まった。
このときに、7どん()を暗刻から切っていたのが多井だった。リーチ宣言牌3ソー()をチーしてテンパイ、待ち取りを選べたが、ドラそばの麺ズを嫌がったのか、暗刻に手をかける。結果的に、この一打が後の村上の放銃を誘発したのかもしれない。
麻雀星人・多井隆晴は昨年末の「麻雀星人vs地球代表」で敗れはしたものの、その強さをしっかりと発揮した。とはいえ今回はさすがに劣勢、しかし彼は言う。
あとさ
役満ごときに屈したら
麻雀星に生まれた意味がねェだろ
ϵ( 'Θ' )϶— 多井隆晴(おおいたかはる) (@takaharu_ooi) March 23, 2023
清1局、多井の手はチャンタ三色がハッキリと見える形。ここでど真ん中の6ソー()をリリース、最大限に手役を追う。
構想通りに手が進み、14麺()待ちでリーチ。高目1麺()なら三色がついて6000オールからという大物手だ。
茅森の追撃リーチを受けるものの、ここは山に2枚あった高目の1麺()をツモって、裏ドラは乗らずとも6000オール。一気に村上へと肉薄する。これぞまさしく「いい麺」、日清食品の麺はラーメンもうどんも焼きそばもうまいぞ。
村上を射程圏に捉えた多井は清3局、カン4どん()待ちリーチをなんと一発でツモ。リーチ一発ツモ赤の満貫で親かぶりの村上をかわし、トップ目に立った。
まさか、ずん兵衛があそこから負けるのか。
日清焼そばU.F.O.が、どん兵衛を倒すのか。
しかし、「麺飯位決定戦」はここからさらに波乱の展開となる。
カヤーモリのうまさが光る激辛な一撃
オーラス、アガればトップという多井の手が面白いことになっている。4の牌が全部で7枚、Mリーグでも今だ出現していない幻の2翻手役「三色同刻」が見えるのだ。
肝心の4どん()4ソー()は、茅森の手に1枚ずつあった。ただ、茅森の手は123の三色がハッキリと見える形。三色に向かえば、どちらも出ていく牌である。
しかし、茅森はここからひよこちゃん()を切った。3ソー()が場に2枚切れていることから、目に見えて薄い牌との心中を避け、いろいろな可能性を残した一打だ。さようならひよこちゃん、フォーエバーひよこちゃん。
茅森が登場時に手にしていたのは「カヤーモリ」。
今回の戦いが「麺麺位」ではなく「麺飯位」となったのは、この即席カップライス商品が理由である。
選手発表を見たとき、率直に思った。
「『カ』しか合ってねーじゃねーか」
語呂合わせの強引さはともかく、茅森もチャンスがあれば強引に攻めていく打ち手だ。しかしその裏には、繊細な場読みと状況判断がある。最後の親番、上の2人は茅森には立ち向かいにくい状況ということで、ここはカン5ソー()待ちでも即リーチ。
2人を下ろして一人旅、ツモって裏1、4000オール。このアガリで、今度は茅森がトップ目に立った。
三色に固執しなかった、天才のうまさが光る激辛な一撃で、場の空気は沸騰。「麺飯位決定戦」は、その名に違わぬ名勝負となった。茅森から村上まで、3人の点差は2000点。誰が勝ってもおかしくない。
麺とスープのように絡み合う、運命の一局の果てに
清4局1本場、多井が少考の末に4麺()をチーした。タンヤオか、ハングリー()の後付けか。
多井の選択は4どん()切り。ハングリー()を鳴けることを想定しつつ、678三色も視野に入れていたのかもしれない。