どん兵衛のうまみと麻雀の醍醐味を噛みしめて 村上淳、熱戦を制し麺飯位戴冠【Mリーグ2022-23観戦記2/23 麺飯位決定戦】担当記者:東川亮【 #役満 】

「リッチだよな!!」
あまりに強烈なリーチ宣言。捨て牌に並んだ赤2枚が、どん兵衛の彩り七味のように刺激的である。

ひよこちゃんが見守る一発目のツモ牌には、

4本のソースが流れていた。

「ツモ!」
裏ドラを見る必要もない、リーチ一発ツモ四麺刻、8000-16000
どん兵衛のお揚げに負けず劣らず、ふっくらと仕上がりきった。

ずん兵衛村上、まさかこの舞台で役満を決めるとは。
おや、何か聞こえるぞ。

「Mでや・・・」

麻雀星人の地球侵略再び

このまま村上の楽勝かと思われた一戦だったが、やはり「麺飯位決定戦」は一筋縄ではいかなかった。茅森がテンパイ連荘でつなぎまくった日4局4本場、茅森のリーチに対して、テンパイを入れていた村上は7どん1どん(【7ピン】【1ピン】)と通っていたことで、4どん(【4ピン】)をプッシュ。

これが茅森のカン4どん(【4ピン】)待ちに刺さってしまう。手牌はドラ3、12000は13200の直撃に供託3本が加わり、村上と茅森の点差は一気に3万点近く詰まった。

このときに、7どん(【7ピン】)を暗刻から切っていたのが多井だった。リーチ宣言牌3ソー(【3ソウ】)をチーしてテンパイ、待ち取りを選べたが、ドラそばの麺ズを嫌がったのか、暗刻に手をかける。結果的に、この一打が後の村上の放銃を誘発したのかもしれない。

麻雀星人・多井隆晴は昨年末の「麻雀星人vs地球代表」で敗れはしたものの、その強さをしっかりと発揮した。とはいえ今回はさすがに劣勢、しかし彼は言う。

清1局、多井の手はチャンタ三色がハッキリと見える形。ここでど真ん中の6ソー(【6ソウ】)をリリース、最大限に手役を追う。

構想通りに手が進み、14麺(【1マン】【4マン】)待ちでリーチ。高目1麺(【1マン】)なら三色がついて6000オールからという大物手だ。

茅森の追撃リーチを受けるものの、ここは山に2枚あった高目の1麺(【1マン】)をツモって、裏ドラは乗らずとも6000オール。一気に村上へと肉薄する。これぞまさしく「いい麺」、日清食品の麺はラーメンもうどんも焼きそばもうまいぞ。

村上を射程圏に捉えた多井は清3局、カン4どん(【4ピン】)待ちリーチをなんと一発でツモ。リーチ一発ツモ赤の満貫で親かぶりの村上をかわし、トップ目に立った。

まさか、ずん兵衛があそこから負けるのか。
日清焼そばU.F.O.が、どん兵衛を倒すのか。
しかし、「麺飯位決定戦」はここからさらに波乱の展開となる。

カヤーモリのうまさが光る激辛な一撃

オーラス、アガればトップという多井の手が面白いことになっている。4の牌が全部で7枚、Mリーグでも今だ出現していない幻の2翻手役三色同刻が見えるのだ。

肝心の4どん(【4ピン】)4ソー(【4ソウ】)は、茅森の手に1枚ずつあった。ただ、茅森の手は123の三色がハッキリと見える形。三色に向かえば、どちらも出ていく牌である。

しかし、茅森はここからひよこちゃん(【1ソウ】)を切った。3ソー(【3ソウ】)が場に2枚切れていることから、目に見えて薄い牌との心中を避け、いろいろな可能性を残した一打だ。さようならひよこちゃん、フォーエバーひよこちゃん。

茅森が登場時に手にしていたのは「カヤーモリ」
今回の戦いが「麺麺位」ではなく「麺飯位」となったのは、この即席カップライス商品が理由である。
選手発表を見たとき、率直に思った。

「『カ』しか合ってねーじゃねーか」

語呂合わせの強引さはともかく、茅森もチャンスがあれば強引に攻めていく打ち手だ。しかしその裏には、繊細な場読みと状況判断がある。最後の親番、上の2人は茅森には立ち向かいにくい状況ということで、ここはカン5ソー(【5ソウ】)待ちでも即リーチ。

2人を下ろして一人旅、ツモって裏1、4000オール。このアガリで、今度は茅森がトップ目に立った。

三色に固執しなかった、天才のうまさが光る激辛な一撃で、場の空気は沸騰。「麺飯位決定戦」は、その名に違わぬ名勝負となった。茅森から村上まで、3人の点差は2000点。誰が勝ってもおかしくない。

麺とスープのように絡み合う、運命の一局の果てに

清4局1本場、多井が少考の末に4麺(【4マン】)をチーした。タンヤオか、ハングリー(【發】)後付けか。

多井の選択は4どん(【4ピン】)切り。ハングリー(【發】)を鳴けることを想定しつつ、678三色も視野に入れていたのかもしれない。

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