下剋上への狼煙を上げろ
勝又健志、条件戦の機微を
突いた逆転勝利
文・東川亮【月曜担当ライター】2021年5月10日
朝日新聞Mリーグ2020 ファイナルシリーズが始まった。
6日間12戦という短期決戦で、 今シーズンの優勝チームが決まる。
ポイントはセミファイナルからさらに半分になっており、4位のEX風林火山にも、決してチャンスがないわけではない。
注目のファイナル開幕戦には、20代のMリーガー3人が登場した。
この3人が一緒に同卓するのは初めてだ。
誰が勝っても、チームに大きな勢いをもたらすだろう。
そしてもちろん、セミファイナル最終戦に続いての登場となった勝又健志も、一歩も引くつもりはない。
ファイナルが始まった。
その戦いを、優勝シャーレが見つめている。
5月10日 第1回戦
西家:岡田紗佳(KADOKAWAサクラナイツ)
東1局。
岡田が自風のポンから仕掛ける。
直後にが出るとこれもポン、ソーズのリャンメンターツを落としてホンイツに向かった。
序盤に大きなアガリを決めれば後の戦いを有利に進められることに加え、現在の親番は首位・ABEMASの松本。
軽く仕掛けてライバルの親を流すのではなく、できれば高打点を親かぶりさせたい。
そんな攻撃的な選択だ。
3副露のイーシャンテンからを加カン。
他3者が門前だけにリーチで押し返されると怖いが、ここも積極的に動いた。
岡田の意気込みに呼応するかのように、新ドラは2枚持っている。
これで満貫どころかハネ満・倍満すら見えるようになった。
最後はカン待ちをツモって3000-6000。
見事な先制攻撃を決めた。
東4局1本場でも岡田の積極性が見られた。
チートイツのテンパイでヤミテンが利くが、ここで待ちのリーチを敢行。
との待ち選択だが、1枚切れのと生牌の、見た目の枚数ではの方が1枚多い。
比較した上でツモなら満貫、を自身が2枚ずつ持っていて周りもは少し使いにくいと読んだか。
また、自身がを切っていて片スジ、を引けば中スジになり、よりアガりやすくもなるだろう。
とは言え、これはかなり強気な選択に思える。
これに勝又が放銃して3200(+1本場)、岡田がさらに加点に成功。
今シーズンの岡田は、こういう強気な選択で勝利をもぎ取ってきたように思う。
南1局は勝又がツモドラ赤の満貫をツモるも、
南2局は岡田がリーチツモドラ赤の満貫をツモり返す。
試合は岡田ペースで終盤戦へと向かう。
この試合はここまで8局中7回のアガリが生まれているが、丸山だけはアガリがなかった。