最高位決定戦のインタビューでこう語った優。
「右腕1本で生きていく選択」
全てを麻雀に捧げる事を選んだ優の覚悟が強く伝わってくる。
最愛の家族を残して単身で上京した優。
もちろん寂しい気持ちもあるはずだ。
愛する娘さん2人に食生活を心配される優。
お酒好きで野菜嫌いを娘に心配されるパパは筆者は少なくとも優ぐらいしか知らない。
そんな愛されパパが家族をやチームを守る為に命がけで押した局面をもう1つ紹介させて頂きたい。
2023年2月17日 第2試合
南4局、2着目の渋谷ABEMAS・松本吉弘までは3900点のアガリで届く局面。
123を全て晒して、チャンタ三色ドラのテンパイを入れた。
この局の優の仕掛け出しも非常に興味深かった。
2巡目のから発進してのこの手牌。
チャンタ三色は必須、後はにドラののくっつきか、ポンで条件を満たす。
とはいえ、この形から発進できる者はそうそういない。
この辺りの想像力は、鳴き仕掛けを多用するネット麻雀「天鳳」から築いたものであろう。
4着目の親の堀のリーチを受けて持ってきたのはドラの
どころかソーズは以外全く通っていない。
のトイツ落としの選択が一般的に見えるが
「戦闘民族」優の導いた答えは、
ドラのだった。
打牌候補の順で言えば
>>
のイメージを持つ打ち手が大半では無いだろうか。
はのワンチャンスである。となると見えている枚数的にもの方が埋まっていない可能性が高い。
なおかつは1枚切れで自身から3枚見えの為、シャンポンに当たる事は無い。
ワンチャンスかつシャンポン待ちも否定なら、アガれば着アップ確定のこの手は押し切る価値があると判断したのだ。
ドラを切り飛ばした優は目を細めて静かに局面を見つめる。
自分にとって、そしてチームにとって何が得なのか。
常に神経をすり減らしながら危険牌を押す中、冷静に状況を読み取る優の眼差しに震えが走る。
初陣となった今シーズン、
通算してみれば△92.8Pと振るわぬ成績のままレギュラーシーズンは幕を閉じた。
もちろん常に前に出るスタイル故に成績が下振れる事も他の選手よりも多いであろう。
しかし、優はそんな事は関係無い。
コンスタントに結果を残さないと生きてはいけないこの世界。
それを優はよく分かっている。
Mリーガーとして成功するために
優が犠牲を払ったのは家族だけでは無かった。
優の地元愛知県豊橋市に出店し17年続けてきた雀荘
「ばとるふぃ~るど」
その暖簾を畳んだのであった。
実は大昔に優は一度自分の店の為に最高位戦も退会している。
それほどまでに力と愛情を注いできた店を完全閉店しMリーグの舞台に立っているのだ。
優が打っている麻雀は単なる娯楽や趣味の範囲では無い。
人生そのものが賭かっている。
負け続ければMリーガーの冠も剥がれてしまうであろう。
それに付随したゲストや仕事も当然無くなる。