宇宙人とロボ【Mリーグ2022-23セミファイナル観戦記4/18】担当記者:越野智紀

小林選手の脳内コンピュータがフル稼働して冷静に状況を分析

【5マン】は二人に無筋なので危険度倍増。2軒リーチで横移動の可能性が上昇。勝又への安全牌は【2ピン】1枚で多井への安全牌は【4ピン】【8ピン】の2枚。共通安全牌無し。片方の現物でリーチ前に切られた【4ピン】の跨ぎ筋の【2ピン】が一番通りそうだが、トップ目で追っかけリーチをしてきた多井選手のほうが待ちも打点もありそう。リーチ棒が2本出てアガリの価値が2,000点増して2,900は4,900)

哺乳類は基本的に痛がり屋なので2軒リーチには直感的に押しづらい生き物なのですが、これが麻雀サイボーグ小林選手の真骨頂。
表情一つ変えずにアガリに向かって【5マン】ツモ切りを選択しました。

やむなき理由でイーシャンテンから2軒リーチに無筋切る。
狂気の沙汰ほど面白いとはこのことで、この試合の中で一番好きな一打でした。

さらにこの物語には続きがあって

3軒リーチを受けた小林選手は、イーシャンテンで掴んだ1枚切れの【發】

(勝又・多井はリーチが入る1巡前に切られた【發】を鳴いてなく、二人は黒沢咲じゃないので【發】シャンポンの可能性は低い。勝又は【4ソウ】多井【9ソウ】をトイツ落とししていてチートイツはなさそう。リーチ棒が3本出て…)

これは切れるとイーシャンテンを維持。

3軒リーチまでくると横移動の可能性がだいぶ上がり、3人がツモ切っていくので安全牌も増えていくことが想像できます。
だいぶ降りる方に気持ちが傾いていたようにも見えましたが、思考を止めずに押せる牌では降りないところに小林選手の強さが見えました。

南2局1本場

苦しい展開の中で我慢と狂気の絶妙なバランスで耐えていた小林選手に、ついに早いリーチが入ると

これにぶつかったのが、トップ目多井選手を追走する一番手にいた勝又選手。

手に安全牌は【8ソウ】の1枚だけ。
現物を切って役無しカン【2ソウ】待ちにしたところで先は無いと

【1ソウ】を勝負してカン【7ソウ】待ちタンヤオのテンパイを取ります。

【1ピン】も勝負した後にドラの【8ピン】を引いて少し動きを止めると

【3ソウ】が現物になったこともあり、ここでテンパイを外して【8ソウ】切り。
ピンズにくっつけてのテンパイはフリテンの可能性もありましたが

【1ピン】を引き戻して芸術点高めな【3ピン】【6ピン】【9ピン】高め一気通貫のテンパイが入り、これで勝機ありとリーチを選択しました。

試合後

2着取りを優先するならダマテンにして、その後降りても良かったと振り返っていた勝又選手。

本日「相手のリーチに降りているように見せてダマテンで打ち取る」という作戦を立てていただけに、勝又怒りの作戦未遂となりました。

結果は、すぐに【2マン】を掴んだ勝又選手が小林選手にリーチドラ2の放銃。

仮に勝又選手が作戦を遂行してダマテンにしていた場合、すぐに掴んだ【2マン】を止めるべきかどうかも難しく

小林選手への無筋は【1マン】【4マン】【2マン】【5マン】【8マン】【3マン】【6マン】【2ピン】【5ピン】【8ピン】【3ピン】【6ピン】【9ピン】【4ピン】【7ピン】【4ソウ】【7ソウ】と大量に残されていて、勝又選手の手にある安全牌は【1ピン】【5ソウ】【6ソウ】ぐらい。
勝又選手が無筋を引き続け、さらに小林選手のツモ切りで安全牌が増えなければ最速3巡後に手詰まりが発生します。
勝又選手が無筋を掴む確率が最初は50%ぐらいから徐々に低下していき、小林選手のツモ切りで勝又選手に安全牌が増えない確率が最初は70%ぐらいから徐々に低下すると考えると、最速で手詰まる確率が4%ぐらい。その後に手詰まる確率も合わせれば、【2マン】の放銃率のほうが低そうな気もします。
そんなことを悩みながら背後にいる勝又先生を振り返って見ると、ニッコリ笑って「無筋にも濃淡があって、本命は切らないよ」と言いながら手詰まった後に【2マン】よりも安全な無筋を見つけて放銃回避してそうなんですよね。

このアガリで点数状況が良くなった小林選手は、南3局に打点よりもアガリやすさを優先した選択ができるようになり

赤入りのドラ受けターツを払った結果

リーチ一発ツモ裏という効率の良い満貫のアガリが生まれ、3着以下を突き放すことに成功。

オーラスの親番では勝又選手のリーチに降りて2着を確保しました。

このオーラスの勝又選手のリーチに対し、ラス脱出を狙い堀選手が抵抗。

カン【4ピン】一盃口ダマテンから、ツモり三暗刻の変化でハネマンツモの2着浮上も夢見ましたが

【8マン】を掴んでゲームセット。

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