花は桜 君は美し【Mリーグ2022-23セミファイナル観戦記5/4】担当記者:ゆうせー

このあとで、

場に放たれた【8ピン】を仕掛けた岡田、

亜樹の【6マン】をとらえた!

綱渡りのように細い道をたどった岡田が、親番をギリギリ繋いだ見事な一局であった。

しかし、続く2本場は亜樹のアガリで、岡田は3着目でオーラスを迎えることとなる。

その南4局

岡田に悩ましいテンパイが入る。

ツモ【5マン】

伊達との差は11000。ピンフがついていたら、ツモ裏1条件でのトップ狙いリーチもあった。

しかし、このテンパイではリーチツモ赤赤なので、偶然役が2つ必要だ。

厳しい条件だ。だが、可能性がないわけではない。

岡田が出した答えは、

【4マン】ダマだった。

主な狙いは、

「リーチ」

他家から出るリーチ棒だ!

これで、

岡田はリーチに踏み切れる! 1000点が上乗せされるので、ツモれば伊達との同点トップだ!

白鳥としても、ファイナルを考えるとサクラナイツの着順を押し上げる方がいい。

二人の考えがピタリとハマった瞬間だった。

だが、まだ条件が出来たに過ぎない。岡田はツモらないとトップになることが出来ない。

「お願い、ツモって…」

想いに反して、なかなかアガリ牌を引き寄せることが出来ない岡田。

1枚、また1枚と散っていく花びらのように、岡田のツモが少なくなっていく。

そして、

最後の1枚となった。

愛おしむように感触を確かめて、持ってきたその牌は、

【9マン】であった。

伊達と岡田の劇的な同点トップとなり、会場は、

赤く染まったのちに、

薄桃色へと変わっていった。

まず、

大仕事をやってのけて、格闘倶楽部のファイナル行きを決めた伊達。レギュラーシーズンのMVPは、このあとのファイナルでもキーパーソンになるような予感がする。活躍に期待したい。

そして、

このあと1試合を残していたサクラナイツだったが、奇跡は起こらず、今季はセミファイナルで敗退となった。

兼好法師が書いた『徒然草』の一節に、こんな表現がある。

「花は盛りに、月は隈なきをのみ見るものかは。」

桜も月も、一番美しいときだけが情緒を揺さぶるのではない。他にも趣深い瞬間というのは多いものだ、というのが意だ。

今年度のサクラナイツはずっと苦しかった。咲き誇ることがなかった、と言っていいだろう。

だが、そんな中でも、各選手は美しかった。

不調にあえいだ堀は、それでもチームをファイナルへ導こうと必死に手を伸ばした。

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