東4局1本場

点棒を少し減らした歌衣だが、それでも変わらずに攻勢に出る。
ドラを3つ従えてのカンリーチ。枚数は目に見えて残り2枚と少ないが、それでもお構いなしにリーチへ。

追い付いたのが白雪。
を引いての
は絶好。「勝負しよっか」小さくそう呟いて、ゆっくりと牌を横に曲げる。
先行リーチ者の歌衣から討ち取れば一気にトップまで見えてくる。

天開も追い付いたが、出ていく牌がドラの。
しかし現状ラス目で、手牌に安全牌が無い。であれば勝負に行くしかない。

この宣言牌ドラのが、白雪に捕まってしまう。
白雪は8000点の加点で、ついに歌衣の背中を捉えた。
南1局

早々にテンパイを入れた親の白雪。
ドラ1と打点こそ高くないが、この巡目にこのリャンメンテンパイなら盤石。

しかしこれをそう簡単にアガらせてくれないのが神域リーグ。
白雪のアガリ牌が場に放たれないまま、14巡目に歌衣がテンパイ。
のシャンポン待ちでリーチに打って出る。
攻めの姿勢は変わらない。トップはいつだって前に出て掴み取るものだ。

「全部オリないけどね」
歌衣のリーチ宣言を受けて、白雪はそう強気に言い放った。
しかし2巡後持ってきたに手が止まる。
は歌衣に
も
も通っていないため、所謂ダブル無スジというやつだ。
と持っている場合でも、
と持っている場合でもロンと言われる、超危険牌。
ほとんど行くつもりだったとはいえ、流石に手が止まる。
白雪は深く息を吸い込んで――

を強く押した……!
ここでのアガリは大きな意味を持つ。欲しいのはトップなのだ。
去年1度も取ることができなかったトップを、自らの手で――

それでも白雪の前に立ちはだかったのはかつての戦友、歌衣メイカ。
決して多くはないシャンポン待ちをしっかりとツモアガってみせた。
700、1300の加点でまた一歩前に出る。
2度の流局を挟み、南2局は2本場へ。

白雪にドラ暗刻の勝負手。
しかもタンヤオでまとまりそうな好形だ。
「さっきの親被り8000点分、まだ清算してもらってねえからなあ」
思えばこの半荘、歌衣の倍満を親被ってのスタートだった。
かつての戦友から送られたプレゼントは、重く白雪にのしかかった。
去年もそうだった。いつも白雪の手元に、点棒は無く。藻掻き、苦しんだ先でなんとかポイントの損失を抑える役割。
チームメイトの歌衣の華のある麻雀を見て、自分とは違うと思っていた。
けれど、チームが変わって。
敵として相対して。
いつまでも良い思いはさせないと、白雪が不敵に嗤う。

と
をポンして、瞬く間にテンパイ。
タンヤオドラ3の単騎。

待ちをに変えていた白雪だったが、ラス目の天開からリーチを受けてしまう。
を持ってきて、選択。
はリーチに対してスジの牌、比較的安全そうに見える。

しかし、白雪が選んだのは切り。
が天開に通ると言うのは同時に、他家からの出やすさに直結する。
ならば多少リスクを背負ってでも、を通す価値がある。
トップ目の歌衣から獲れれば、最高。