去年半年もの間、一番近くで見てきたのだ。
歌衣の強さは、誰よりもよく知っている。
少しだけ、白雪の話をさせて欲しい。
去年、確かに白雪の所属するチームアトラスは優勝を果たした。しかし。
 
白雪の個人最終スコアは-105.4(画像は最終日の成績を含んでいないため)。
他メンバー全員がプラスを獲得する中、白雪はただ一人マイナスに沈んだ。
白雪は実力者だ。麻雀の内容を見ている者からすれば、それは間違いない。
去年の大会の中でも、苦しい中で最良の結果を常にチームに持ち帰っていたように思う。
監督を務めた村上も、「レイド君が4着になってもおかしくないところを3着や2位で収めてくれた」と語っている。
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成績は振るわずとも、誰もが彼の麻雀を認めていた。
 
しかしだからといって、白雪が自分の成績に納得しているはずはない。
確かに苦しい中でよくやったと褒められても……彼はたったの1度もトップを取ることができなかったのだ。
チーム優勝を果たしながらも、どこか、虚しさを感じてしまう。
新しいシーズンを迎えて、白雪は所属チームがアトラスからアキレスになった。
相対するは、去年、わいわいと一緒に騒ぎ、憎たらしくも頼もしかった、戦友。
24000のビハインドは大きい。
けれど、白雪は慌ててはいなかった。
 
「やれるだけ頑張ろう」
静かに白雪の反撃が始まる。
流局と天宮のアガリを挟んで、東3局。
 
白雪の配牌がこれだ。
ドラの が対子で入り、1枚が赤牌であるためこの時点でドラドラ赤。
が対子で入り、1枚が赤牌であるためこの時点でドラドラ赤。
勝負手だ。
切るのは か
か あたりが無難だが。
あたりが無難だが。
 
白雪の選択はなんとトイツの 。
。
この選択はとても面白い。ドラ3ではあるものの現状3トイツで、しかもオタ風(3枚になっても役にならない字牌のこと)の と、
と、 がトイツなため、仕掛けを使っていくことが難しい。
がトイツなため、仕掛けを使っていくことが難しい。
しかし仕掛けを使わないでこの手を成就させるのは、少し難しい。
だからこそ、タンヤオ+三色の有効牌である と、持ってきたら役牌トイツになる
と、持ってきたら役牌トイツになる を残して、何の役にもならない
を残して、何の役にもならない のトイツに手をかけたのだ。
のトイツに手をかけたのだ。
 
そうしてたどり着いたテンパイが、この形。
 は裏目になっているが、狙い通り
は裏目になっているが、狙い通り にくっつけてのテンパイ。
にくっつけてのテンパイ。
 は対面の天開が早めに切っており、上家の天宮も
は対面の天開が早めに切っており、上家の天宮も の切り出しが早く、
の切り出しが早く、 の保有率は低い。
の保有率は低い。
迷わずリーチへ。
 
周りが仕掛けて追いすがるも、狙い通り3枚残っていた をツモアガって2000、4000の加点に成功。
をツモアガって2000、4000の加点に成功。
これで原点付近まで点棒を回復。
東4局
 
現在トップ目の歌衣が白を暗刻にして手が進む。
しかし親の天宮がダブ東を含め3副露でテンパイ気配。
ここは歌衣が天宮に通っている
 を払いながらテンパイを狙う。
を払いながらテンパイを狙う。
 
しかし引いてきたのは 。危険な
。危険な が出ていくテンパイ。
が出ていくテンパイ。
トップ目ということもあり、ここは引き気味な選択をしてもおかしくはないが。
 
歌衣はもちろんリーチ。
ここで引くような麻雀を、歌衣は打っていない。
もちろん去年からずっとオフシーズンも麻雀をしてきたことで、技術はかなり向上している。
けれど、歌衣の根っこの部分は変わらないのだ。勝負して勝つ。そんな麻雀を歌衣は目指しているし、ファンは見たいと願っている。
 
「それです~! ロ~ン」
しかしこれが天宮に通らない。
ダブ 赤の5800を、トップの歌衣から直撃に成功。
赤の5800を、トップの歌衣から直撃に成功。
女性陣3人になったゼウスのトップバッター天宮が、チームに初勝利を届けるべく奮闘する。














