【 #神域リーグ2023 第一節第1試合観戦記】白雪レイドが戦友(とも)に送る 去年残した忘れ物【文 #後藤哲冶 】

去年半年もの間、一番近くで見てきたのだ。
歌衣の強さは、誰よりもよく知っている。

少しだけ、白雪の話をさせて欲しい。
去年、確かに白雪の所属するチームアトラスは優勝を果たした。しかし。

白雪の個人最終スコアは-105.4(画像は最終日の成績を含んでいないため)。
他メンバー全員がプラスを獲得する中、白雪はただ一人マイナスに沈んだ。

白雪は実力者だ。麻雀の内容を見ている者からすれば、それは間違いない。
去年の大会の中でも、苦しい中で最良の結果を常にチームに持ち帰っていたように思う。
監督を務めた村上も、「レイド君が4着になってもおかしくないところを3着や2位で収めてくれた」と語っている。

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成績は振るわずとも、誰もが彼の麻雀を認めていた。

しかしだからといって、白雪が自分の成績に納得しているはずはない。
確かに苦しい中でよくやったと褒められても……彼はたったの1度もトップを取ることができなかったのだ。
チーム優勝を果たしながらも、どこか、虚しさを感じてしまう。

新しいシーズンを迎えて、白雪は所属チームがアトラスからアキレスになった。
相対するは、去年、わいわいと一緒に騒ぎ、憎たらしくも頼もしかった、戦友。

24000のビハインドは大きい。
けれど、白雪は慌ててはいなかった。

「やれるだけ頑張ろう」

静かに白雪の反撃が始まる。

流局と天宮のアガリを挟んで、東3局

白雪の配牌がこれだ。
ドラの【5ソウ】が対子で入り、1枚が赤牌であるためこの時点でドラドラ赤。
勝負手だ。
切るのは【中】【8マン】あたりが無難だが。

白雪の選択はなんとトイツの【南】
この選択はとても面白い。ドラ3ではあるものの現状3トイツで、しかもオタ風(3枚になっても役にならない字牌のこと)の【南】と、【1ピン】がトイツなため、仕掛けを使っていくことが難しい。
しかし仕掛けを使わないでこの手を成就させるのは、少し難しい。
だからこそ、タンヤオ+三色の有効牌である【8マン】と、持ってきたら役牌トイツになる【中】を残して、何の役にもならない【南】のトイツに手をかけたのだ。

そうしてたどり着いたテンパイが、この形。
【南】は裏目になっているが、狙い通り【8マン】にくっつけてのテンパイ。
【7マン】は対面の天開が早めに切っており、上家の天宮も【8マン】の切り出しが早く、【7マン】の保有率は低い。
迷わずリーチへ。

周りが仕掛けて追いすがるも、狙い通り3枚残っていた【7マン】をツモアガって2000、4000の加点に成功。
これで原点付近まで点棒を回復。

東4局

現在トップ目の歌衣が白を暗刻にして手が進む。
しかし親の天宮がダブ東を含め3副露でテンパイ気配。
ここは歌衣が天宮に通っている【9マン】【7マン】を払いながらテンパイを狙う。

しかし引いてきたのは【6マン】。危険な【5マン】が出ていくテンパイ。
トップ目ということもあり、ここは引き気味な選択をしてもおかしくはないが。

歌衣はもちろんリーチ。
ここで引くような麻雀を、歌衣は打っていない。
もちろん去年からずっとオフシーズンも麻雀をしてきたことで、技術はかなり向上している。
けれど、歌衣の根っこの部分は変わらないのだ。勝負して勝つ。そんな麻雀を歌衣は目指しているし、ファンは見たいと願っている。

「それです~! ロ~ン」

しかしこれが天宮に通らない。
ダブ【東】赤の5800を、トップの歌衣から直撃に成功。
女性陣3人になったゼウスのトップバッター天宮が、チームに初勝利を届けるべく奮闘する。

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