【EX風林火山 IKUSA 決勝2日目 観戦記】持っているものは誰だ! 想いと技が交錯する IKUSA最終章 文・ZERO / 沖中祐也

それでも一井は

リーチで攻めた。
親落としのチャンスであるとともに、決定打を決めるチャンスでもあるのだ。

力強く【7マン】を引き寄せてのツモ!
裏ドラがもろのりしての3000/6000。
こうしてバチバチの殴り合いは一井に軍配が上がった。

1回戦を終えて優勝争いが11.7pt差とほぼ横並び。
しゅもは連勝条件か。

2年目の新人が躍動するのか、23年目のベテランが背水の勝利を収めるのか。
次の2回戦が、事実上の最終戦となった。

5/6回戦

「ツモ、2000/4000」

まずは一井がツモ・チャンタ・ドラ1のペン【7マン】をツモり先制に成功。
しかもこれはただのペン【7マン】ではない。

親の逢川(私【7マン】暗刻なのに…)

しゅも(俺なんて【4マン】【7マン】待ちでリーチしてるんだぜ!)

声にはできない心の叫びとともに、牌は吸い込まれ、局は進んでいく。

次局、連勝必須となった親のしゅもは

ここから【1ピン】を切った。
ドラの【東】を切りたくないのはわかるが、【1ピン】【3ピン】【3ピン】から選ぶのであれば【3ピン】の方ではないか。
【2ピン】をツモったときにピンフがつくし、もしかしたらピンズのイッツーになるかもしれないからだ。

松嶋「亜樹さんはドラは恋人と仰ってましたが」
亜樹「恋人ってなんだろうねって感じですけど」

解説席が哲学的な話をしていると、しゅもの狙いがわかってきた。

【1ピン】を切ったことにより、きれいなメンタンピンになったのだ!
たしかに【1ピン】を切って【3ピン】を雀頭固定したほうが【6マン】を横に伸ばしやすい上に、タンヤオまで1手で変わる。

アマチュア予選を優勝してベスト16から決勝まで残ってきたしゅも。
プロ3人に囲まれても全く違和感がない。

大物プロの風格すら漂わせるしゅものメンタンピンリーチを受けた志岐の手牌。

【赤5ピン】を切れば【4ソウ】【7ソウ】待ちとなる場面で…

当然のようにサムライは斬り込んでいく!
だが、結果は…

しゅもへの12000放銃。

「あれが… 分岐だったかもしれません」
と肩を落とす志岐。

たしかに、最初に紹介したドラの【5ピン】を切っての【1マン】【4マン】【7マン】は、リーチのみと言えど、ライバルの一井の仕掛けを蹴るという大きなリターンがあった。
今回は無理に喧嘩をしなくてもいい親のしゅも相手だ。

ピンフドラ1は勝負手と言えるが

たまたま当たらなかったからいいものの、一発で両無筋の【赤5ピン】を切るのは負荷が高すぎる。ここは現物の【9ソウ】【8ソウ】と落としていきながら、再度タンピンや三色までついたら押し返す、という折衷案が良かったのかもしれない。

結果的にこの横移動は、一井にとってかなり大きな一局となった。

逢川の受難

逢川がこの日一番の長考に沈んだ。

しゅものリーチを受けて、国士のイーシャンテン。
浮いている2牌は無筋。
さらに親の志岐が押している。

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