それでも一井は
リーチで攻めた。
親落としのチャンスであるとともに、決定打を決めるチャンスでもあるのだ。
力強くを引き寄せてのツモ!
裏ドラがもろのりしての3000/6000。
こうしてバチバチの殴り合いは一井に軍配が上がった。
1回戦を終えて優勝争いが11.7pt差とほぼ横並び。
しゅもは連勝条件か。
2年目の新人が躍動するのか、23年目のベテランが背水の勝利を収めるのか。
次の2回戦が、事実上の最終戦となった。
5/6回戦
「ツモ、2000/4000」
まずは一井がツモ・チャンタ・ドラ1のペンをツモり先制に成功。
しかもこれはただのペンではない。
親の逢川(私暗刻なのに…)
しゅも(俺なんて待ちでリーチしてるんだぜ!)
声にはできない心の叫びとともに、牌は吸い込まれ、局は進んでいく。
次局、連勝必須となった親のしゅもは
ここからを切った。
ドラのを切りたくないのはわかるが、から選ぶのであればの方ではないか。
をツモったときにピンフがつくし、もしかしたらピンズのイッツーになるかもしれないからだ。
松嶋「亜樹さんはドラは恋人と仰ってましたが」
亜樹「恋人ってなんだろうねって感じですけど」
解説席が哲学的な話をしていると、しゅもの狙いがわかってきた。
を切ったことにより、きれいなメンタンピンになったのだ!
たしかにを切ってを雀頭固定したほうがを横に伸ばしやすい上に、タンヤオまで1手で変わる。
アマチュア予選を優勝してベスト16から決勝まで残ってきたしゅも。
プロ3人に囲まれても全く違和感がない。
大物プロの風格すら漂わせるしゅものメンタンピンリーチを受けた志岐の手牌。
を切れば待ちとなる場面で…
当然のようにサムライは斬り込んでいく!
だが、結果は…
しゅもへの12000放銃。
「あれが… 分岐だったかもしれません」
と肩を落とす志岐。
たしかに、最初に紹介したドラのを切ってのは、リーチのみと言えど、ライバルの一井の仕掛けを蹴るという大きなリターンがあった。
今回は無理に喧嘩をしなくてもいい親のしゅも相手だ。
ピンフドラ1は勝負手と言えるが
たまたま当たらなかったからいいものの、一発で両無筋のを切るのは負荷が高すぎる。ここは現物の→と落としていきながら、再度タンピンや三色までついたら押し返す、という折衷案が良かったのかもしれない。
結果的にこの横移動は、一井にとってかなり大きな一局となった。
逢川の受難
逢川がこの日一番の長考に沈んだ。
しゅものリーチを受けて、国士のイーシャンテン。
浮いている2牌は無筋。
さらに親の志岐が押している。