2人からリーチが入るも、終盤でをツモ。
大きすぎる2000、4000の加点。
鳴く選択と鳴かない選択が巧妙。流石は監督と言うべき見事な手組だった。
これで村上が少し抜けたトップ目に立ってオーラスへ。
オーラスを迎えた空星の配牌がこれだ。
……正直、良いとは言い難い。形こそ悪くないが、ドラも赤も無い。
しかしこの局は空星にとって上を狙いやすい局。
自分は高い手に打っても4着になることがあまりなく、満貫をツモればトップになることができる。
「下とは離れてる。2着をキープするためには1000点でも良い。1pが2人に通ってる」
空星は手を進めながら、現在自分が置かれた状況を冷静に把握していた。
手が高い方へ進まないのであれば、1000点でも良い。
しかし少しでも満貫ツモトップが見えるのであれば、勝負しても良い。
1回の手番が20秒しかない神域リーグでは、常にこういった思考を張り巡らせることが重要になってくる。
ドラのを使えるように残し続けたにがくっついた。
これでを引くことさえできれば満貫が見えてくる。
東を引いて、打。万が一村上からリーチが飛んできた時の安全牌で東を残しつつ、が重なってのリーチのみに見切りをつけた。
役はピンフのみでの2着確定か、ピンフドラ1でのリーチ。
実に冷静で、丁寧な進行。
引き入れたのは、……!
もちろんリーチに打って出る。これでツモって裏が1枚でも乗ればトップだ。
下位2人からもリーチが飛んでくる。
リーチ棒が2本出たことにより、これで出アガリの満貫でもトップの村上を上回ることができる。
オーラスの熱いめくり合い。
「このリーチに後悔はない」
空星が力強くそう呟く。
トップの可能性があるのなら最後まで追い求める。
ヘラクレスの初陣、期待を背負って出場した空星のデビュー戦は。
まるで一等星の輝きのように。
華やかに彩られることとなった。
道中でも素晴らしい選択を見せてくれた村上が2着。
渋川もチームの連続ラスこそ止められたが、3着という結果は悔しいだろう。
天宮は手が入るもののなかなかアガリに結びつかず、無念のラス。
トップは、空星きらめ。
インタビューでは盛大なヘラクレス校歌も流れ、公式放送は和やかな雰囲気に包まれた。
本人は反省点もあると語ったが、冷静な状況把握と、リーチ判断。
随所に光るセンスを見せてくれた空星の今後の活躍も、実に期待したいところだ。
ところで……
この喜びの声を一番に届けるのは、もちろん自チームの監督、だよね?
まさか、他チームの監督の所になんて、行かないよね?
ヘラクレスの監督ときちんとした信頼関係を築いていけるのかにも、ひっそり注目してみたい。
最高位戦日本プロ麻雀協会47期前期入会。麻雀プロ兼作家。
麻雀の面白さと、リアルな熱量を多くの人に伝えるため幅広く活動中。
Twitter:@Kotetsu_0924