粘りの石井良樹　執念の鈴木優　諦めが悪い男達が卓上で奏でた鎮魂歌【Mトーナメント2023/６/26 J卓】担当記者：徳岡明信

石井もさすがにメンゼンを放棄してチーテンの一気通貫のテンパイを取る。
素点では大きなビハインドをしているので少しでも高い打点に仕上げたいが、それよりも親番の死守が命題だ。

優も倍満条件を満たすテンパイのイーシャンテンまで漕ぎ着けた。

大事な大事な選択。
目を凝らし、場を見つめ、重なりそうな牌を考える。

優の選択は打

石井が6巡目に安全牌のを切った後に手からが出てきている。
このが手牌に関連していそうで
東城のをポンしていない事も加味すると石井の手に打の際にのトイツが固定されている事が想定出来る。

まさに優の読み通りだ。
打でのトイツを固定していた。

長時間に渡る激闘の中でもここまで読みを働かせる優の集中力は
人並外れた化け物だ。

牌は優に応えてくれた。
ダマテンでツモ、そして東城からのみの直撃条件を満たすテンパイが入る。
残り1枚まで優の頑張りに牌が応えてくれるのか。

牌の神様も思わせぶりなものだ。
ここは石井が執念の1000は1600オールで交し切って望みを繋ぐ。

最後の最後に優にそっぽを向く牌の神様。
再び優は倍満を1から作らなくてはいけない。

南4局7本場

「なりふりなんて構ってられるかよ」
石井の悲痛な叫びはポンの発声となって卓上に響き渡る。

しかしまぁ何ということでしょう。
あんなに悪かった手牌がこんなにも整っていき、
直前に重なったもポン出来てあっという間の手牌大改造劇的ビフォーアフター
7700のトイトイのテンパイに生まれ変わりました。

神様はまだ石井を見放してはいない。

優も見放されていないぞ。
一発か裏1条件ながらも倍満ツモ条件を満たすテンパイが再び入った。
石井と優のアガリ牌は共に山に1枚ずつ。

果たしてこの天王山を制するのは…

石井だ！　優がラス牌のを掴み7700は9800点という聞きなじみの無い点数が申告される。
これで優の条件は再び三倍満ツモへと逆戻り。
ここで万事休すか。
そう誰しもが思ったであろう。

恐ろしき優の生命力。
これがMリーガーだ。
最後まで諦めない執念を優はツモリ四暗刻のテンパイで我々に魅せてくれる。

山には残っていなかった。
それでも優は力を入れてツモリ続ける。

最終手番、ギリギリでテンパイを入れた石井との2人テンパイでオーラスもついに10本場へ突入する。

長い戦いもついに終止符が打たれる時が来たか。
2巡目に浅井がポンテンの待ちテンパイ。