仲林圭に死角はない
その右手は泰然と、
チームを勝利に導く
文・江崎しんのすけ【月曜担当ライター】2023年10月16日
第2試合
東家:仲林圭(U-NEXT Pirates)
南家:茅森早香(セガサミーフェニックス)
西家:佐々木寿人(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
北家:鈴木大介(BEAST Japanext)
Mリーグ2023レギュラーシーズン34試合目。
トップを取ったのは仲林だった。
1試合目の小林のラスを帳消しにするトップでパイレーツはランキング上位をキープ。仲林はこれで個人3連勝を達成した。
スタッツからもわかる通り、とにかくアガリ・放銃の多い乱打戦となった。
寿人の裸単騎や攻め気たっぷりだった茅森の69pなど、印象に残っているアガリも多い。
仲林はこの試合で4回のアガリを決めている。
仲林は少考があまり無く、打牌スピードが一定なためどのアガリも簡単に決めているように見えるが、その手順はどれも隙が無く、非常に繊細なバランスの上に成り立っている。
「名人に名手なし」という名言があるが、仲林の手にかかれば名手もなんてことない一打に見えてしまう。
今回は4回のアガリの中から、特に優れていた2つのアガリを紹介したい。
1つ目は東3局1本場のアガリ。
ドラがなので、鳴いても満貫が確定している手。テンパイが取れる牌は全て鳴いていく構えだろう。
すぐに上家の大介からが出る。
仲林はこれを当然チーする。
チーは当然として、問題は待ちをどうするかだ。
カンとのシャンポン待ちの2択だが、仲林はノータイムでカンを選択する。
どちらも場に出ていないので、一見打点・枚数ともに違いが無いように見えるが、この2択は大きな差がある。
まず待ちの枚数だが、同じ4枚だとしてもシャンポンの片割れはドラの。使いやすい真ん中のドラなのでまず出アガリは期待できないだろう。
そうなると実質期待できるのはが2枚とが4枚なので、の方がアガリが見込めると言える。
シャンポンからやを引けばリャンメンへ変化させることもできるが、打点が半分になってしまうため好ましくない。
もう1つ大きなポイントは、カン待ちは他家から読まれにくい点だ。
仲林はをカンでチーして打としている。
このはからカンチャンにとって放たれたいわゆる関連牌で、本来であれば周りの待ちは一番警戒されるパターンとなる。
しかし晒した形がだったため、の形からチーしてを切ったように見えるため、このが待ちに関連しているように見えないのだ。
仲林の河を見ると、ピンズはチーにより面子が完成しむしろ通りそうに見える。の裏スジのやなどが本線に見えるだろう。
この仲林の仕掛けに飛び込んだのは寿人だった。
仲林がチーした直後に寿人はを掴む。
もし仲林がピンズ以外の色で鳴いて打だったとしたら、このは打たれず現物のを切ってとのイーシャンテンにとっていただろう。
しかしチーでのカンは、完全に盲点となっていた。
ツモ切られたを仲林が狙い通り捉える。
満貫の出アガリにより、仲林はトップ目に立った。
2つ目は南1局、親番でのアガリ。
マンズの多い配牌から…