『こんなドラ表示は鉄チーだ!!』なんて意見は腐るほどネット上に落ちていると思う。そりゃ私もあの瞬間はチーした方が良いような気がする。
しかし、それはこの世界線を見たことがない人間の意見が大多数で両方の世界を見てから結論を出しても遅くはないんじゃないだろうか。
これをヤミテンにされてしまうとトップ目の猿川も止める術はなかった。
南1局
親番で手牌を開くと、もうほぼアガっている。
100人やったら100人がアガれる4000オールが決まった。
コメント欄を開けば
『簡単すぎるだろwww』
『積込みかよwwズルww』
『ひ渋強』
滝のように流れていた。
ここで一つ。
麻雀業界で何十年もの間議論し続けられていた【流れ理論】というものがある。
読者の方も聞いたことはあるだろう。麻雀において今局と前局、その半荘を通して、一日を通して運の偏りがあり、その未来はある程度予想できるものだという理論だ。
ある派は好調者には良い手が入り、アガリに結び付きやすいと掛ける。
ない派は次の手牌は既にセットされているのだから確率を越えることはあり得ないと解く。
どちらが正解かなんてものは何十年も議論されて一つの答えに辿り着いていない以上わからないのだが、これを見る限りはない派だった著者もある派に寝返ろうかと思う程のアガリだった。
南2局
麻雀にはその半荘の結果を決める勝負局というものが存在すると思っている。
上記の流れ理論よりも少しマイルドな話だ。
この局面を制した方がゲームを有利に進められて結果的に勝利に結び付くというやつである。
それは麻雀打ち全員がなんとなくプレイ中に肌で感じるものだと思っている。
仕掛けを入れた渋川に対して黒沢はリーチで応戦。
微差のトップ目とはいえ、ここで黒沢に背中を見せるような渋川ではない。
ツモ番が無くなっても勝負し切る構えだ。
正にこの一局が勝負局というやつである。
この3900点直撃でこの半荘の勝者は決まった。
南3局
黒沢が最高の入り目を引いてリーチ。
4000オールとなるが、もう既に勝負はついている。
次局すぐに渋川が満貫の加点と共に黒沢の親番を落とす。
南4局
黒沢がヤミテンを入れる。
ツモor直撃条件の為、他家から出ても手牌は倒さないだろう。
渋川もテンパイを入れた。
こうなると結果は見ずともわかるようなものだ。
少し目を離した瞬間想像してなかった光景が広がる。
流れ理論とは… 勝負局とは…
一体なんだったのだろうか。